こだわりは「健康な鶏が産む健康な卵」調理のプロにも高評価。平飼い卵を生産販売

ぷっくり盛り上がった白身に鮮やかなオレンジ色の黄身。そのままご飯にかければ、醤油などの調味料いらずで、卵本来の濃厚なコクが口に広がる――。卵が欠かせないスイーツ店やホテルなどの調理のプロからも高評価を得ているのが、群馬県前橋市の角田養鶏が運営する「つのだ養鶏場」のこだわりの卵だ。(取材・文/大沢玲子)

こだわりは「健康な鶏が産む健康な卵」調理のプロにも高評価。平飼い卵を生産販売代表取締役・角田良雄氏

 同社は代表取締役を務める角田良雄氏がさまざまな職業を経て、生家の農業の承継を検討する中、新たな事業として養鶏をスタートしたことに端を発する。

 当初はケージ(鳥かご)を積み上げて鶏を飼う、一般的なケージ飼いだった。だが、「市場の鶏卵相場で取引価格が決まる従来のスタイルではなく、自分自身のこだわりの卵を世に送り出したいと考え、平飼いと呼ばれる、昔ながらの放し飼いへの挑戦を決意しました」(角田氏)。

 平飼いについて独学で研究し、他の養鶏場の見学、都内の小売店への営業など、数年の試行錯誤を経て飼育法、販売先を確立。1988年に会社を設立し、平飼いによる自然養鶏で育てた卵の生産、販売を開始した。では、同社の養鶏、産み出される卵の特徴はどこにあるのか。ポイントは大きく四つある。

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こだわりは「健康な鶏が産む健康な卵」調理のプロにも高評価。平飼い卵を生産販売調味料なしでも卵本来のコクのある味わいが楽しめる。雄も一緒に飼い、有精卵も手がける

 一つ目が最大のポイントで、衛生的な鶏舎の屋内で、鶏がストレスなく生活できる平飼い養鶏の実践だ。平飼いにもさまざまなスタイルがあるが、同社では衛生面を考慮し、鶏舎のコンクリートの床から約60cmの高さに組んだ金網の上で鶏を飼っている。ふんや土、回虫など、不衛生な環境の中で卵を産ませないための工夫で、コンクリートの清掃も徹底し、鶏舎独特の臭いはほぼしない。

 鶏舎は2棟で計4000平方m。「十分な運動スペースを備え、健康な鶏から健康な卵を生産するための環境を整備しています」と角田氏。鶏舎の周りに石灰をまき、野鳥が入らないよう金網を張るなど鳥インフルエンザ対策も抜かりない。