ウォール街の2023年最後の決算は精彩を欠くものだった。だが融資からウェルスマネジメント(富裕層向け資産管理)に至るまで、米金融大手の他の主力事業が直面するさまざまな課題を考えると、トレーディング・投資銀行部門が2024年に最も確実に稼げる分野かもしれない。米銀大手5行全体で10-12月期の投資銀行業務、つまり株式・債券の発行や企業の合併・買収(M&A)に関する助言などの手数料は、前年同期比約3%増加した。政治や金利、経済成長をめぐって不透明な1年を市場が迎える中、7-9月期決算後に盛んに言われた「萌芽(ほうが)」はまだ十分に現れていない。とはいえ、明るい兆しが全くなかったわけではない。第一に、債券資本市場の成長だ。新規株式公開(IPO)などの株式発行は不安定になりがちだが、企業が債券市場やローン市場を利用する場合、長期的な目標を念頭に置くことが多い。バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)、シティグループ、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレーの5行全体で10-12月期の債券引き受けの収入は前年同期比3分の1ほど増加した。
米銀大手決算、厳しいながらも一部で薄日差す
ファイナンス業務に強み持つゴールドマン・サックスなどが抜け出す可能性
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