運動したい、でもできない……。そこで本連載は論文マニアとしても有名な大谷義夫先生(医師)が、82の論文、世界の最新エビデンスをもとに正しく効果的な歩き方を書いた本『1日1万歩を続けなさい』から、今日から役立つ「歩き方のコツ」をお伝えします。ウォーキングは体にいい。それはたしかに事実です。でも実は「ただ歩くだけ」では効果が出にくいことをご存じでしょうか。同じ歩くなら「科学的な歩き方」で「最大効果」を手に入れる。ここを目指してみてください。
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肺炎予防のため
風邪やインフルエンザの流行が続いていますが、冬は感染症が怖い季節。
中でも「死因第4位」の肺炎には大きな注意が必要です。
北海道大学の調査によると、あまりウォーキングをしない人の肺炎による死亡リスクは3割も上がることがわかっています(※1)。
さらにイギリスからの報告では、軽い運動習慣があることで31%の肺炎リスクが低下、肺炎関連死亡率も36%低くなることがわかっています(※2)。
歩けば免疫細胞の働きが強くなる
免疫力が強ければ、鼻などからウイルスや細菌が入っても、免疫細胞(ウイルスや細菌をやっつける兵隊)が撃退できます。
これをのどで防げれば症状は風邪で終わります。
しかし、兵隊が弱くてウイルスや細菌が肺にまで入り込むと「肺炎」が起きてしまいます。
だからウォーキングが必要なのです。
なぜならウォーキングなどの軽い運動は、免疫細胞の働きを活性化させる(ウイルスや細菌と戦う兵隊の力を強くする)からです。
ですから冬こそ歩いて肺炎予防をしていただきたいと思います。
脳卒中、心臓病に効く
冬は心疾患・脳血管疾患による死亡者も増える季節。
血管が硬くなったり、血液がドロドロになると引き起こされるのが脳卒中や心臓病ですが、歩くことで血圧が低下、さらには内臓脂肪が落ち、肥満が解消されれば、動脈硬化を原因とする心臓や脳の病気のリスクを減らせる可能性があります。
以上の理由から、冬のウォーキングはおすすめなのです。
※本稿は大谷義夫著『1日1万歩を続けなさい』より、一部を抜粋・編集したものです。本書にはウォーキングの効果にまつわるさまざまなエビデンスと、具体的で効果的な歩き方が紹介されています。ウォーキングで効果を出すには歩き方に「コツ」があります。このコツを本書でぜひ掴んでください。
※1 Ukawa S et al. Associations of Daily Walking Time With Pneumonia Mortality Among Elderly Individuals With or Without a Medical History of Myocardial Infarction or Stroke: Findings From the Japan Collaborative Cohort Study. J Epidemiol. 2019 Jun 5;29(6):233-237.doi: 10.2188/jea.JE20170341. Epub 2018 Sep 22.
※2 Kunutsor SK et al. Physical activity reduces the risk of pneumonia: systematic review and meta-analysis of 10 prospective studies involving 1,044,492 participants. GeroScience 2022;44:519-532. doi: 10.1007/s11357-021-00491-2. Epub 2021 Nov 25.