10年以上前に台湾南部のある都市で、住民らは次期総統になる人物の性分を思い知らされた。台南市長を務めていた頼清徳氏は、鉄道路線の一部区画を地下に移そうとしていた。家が取り壊されることになる住民は丸腰でブルドーザーの行く手を阻み、自分たちを不動産開発業者に売り渡したとして頼氏を非難した。政敵は同氏を独裁者と呼んだ。それでも頼氏の決心は変わらず、このプロジェクトは市の将来にとって非常に重要だと訴えて譲らなかった。当時政府高官だった蕭博仁氏は頼氏について、「重い責任を負い、屈辱に耐えなければならない」としても、「正しいと信じたことに全力で打ち込む」と語った。13日に行われた三つどもえの台湾総統選で頼氏(64)が得票率40%で勝利して以来、その決断力、または批判派が言うところの頑固さが大きな意味を持つようになった。人口わずか2400万人ほどの島を率いる頼氏が台北で下す決断の多くは、他の首都、中でも北京とワシントンに波風を立てる可能性がある。