短時間で成果を出している人がいる一方、頑張っているのに成果が出ない人もいる。この違いは何だろう? 経営の最前線で20年以上、成果上げられる人と上げられない人の差を研究してきた人物がいる。東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の木下勝寿社長だ。注目の最新刊『チームX(エックス)』は「世界的にみても極上レベルのビジネス書」(神田昌典氏)と評され、デビュー作『売上最小化、利益最大化の法則』は「20年に一冊の本」(人気会計士)と絶賛された。そして今、「やる気に頼らず楽しく続けられる」と話題となっているのがベストセラー『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』だ。本稿では【がっちりマンデー!!】SNSで「ニトリ」似鳥会長と「食べチョク」秋元代表から「2022年に読んだオススメ本3選」に選抜された本書から一部を抜粋しながら、「最短時間で最大の成果を出す方法」を紹介する。
お金は額面よりバランスが大事
前回、大富豪のエピソードをもとに、「お金持ちには貧乏な人が多い」という話をした。
あるお金の専門家にこの話をすると、「お金は額面よりバランスが大事」と教えてくれた。
ほとんどの人は収入の額面が増えても、強く意識しないと「お金の使い道の比率」は変わらない。
たとえば、月収20万円の人の支出比率を調べたら、次のようになったとしよう。
預貯金10%=2万円
家賃等30%=6万円
食費15%=3万円
衣料品等15%=3万円
その他30%=6万円
この人の月収が30万円に上がったときの支出比率は次のようになる。
預貯金10%=3万円
家賃等30%=9万円
食費15%=4万5000円
衣料品等15%=4万5000円
その他30%=9万円
各比率は同じまま、ほぼ均等に各額面が増える。
もし月次収支がマイナスの人は、収入が増えても結局マイナスのままになる。
マイナス比率は変わらないので、マイナスの額面は増えることになる。
つまり、あなたが「お金が足りない」と思っている場合、今のお金の使い方をしている限り、いつまでもゆとりはできない。
逆に、お金の使い方やバランスを変えれば、収入が増えなくてもゆとりができる。
お金にゆとりを持つ2つのコツ
お金にゆとりを持つコツは2つある。
1 収入が増えた場合
仮に収入が3万円増えたとしよう。
その3万円を現在の使い道に均等に割り振り、全般的に少しずつぜいたくをする使い方をしてはいけない。
家賃、食費など現在のまま問題ないところはそのまま。
そして貯金やその他「自分がゆとりを感じること」に3万円の大半を投入する。
これでかなりゆとりを感じられるようになる。
2 収入が増えない場合
自分がもっと収入が少なかった頃のお金の使い道の比率、額面を書き出す(おそらく比率自体はそれほど変わっていない)。
お金の使い道のうち「それほど不自由を感じていなかった」という部分は、かつての額面に落とす。
そして、浮いた分を預貯金やその他「自分がゆとりを味わいやすいところ」に割り振りし直す。
最初は苦痛を感じるが、すぐに慣れる。
そして「お金のゆとり」を感じ始める。
さらにビジネス経験を重ねていくと、次の境地に達する。
いろいろなモノの見え方が変わってくるのだ。
たとえば、椅子一つ見ても、座面と軸でできていて、それぞれ素材を調達し加工して組み合わせることで、自分の目の前にあるというプロセスが透けて見えてくる。
そして、それぞれのプロセスに関わった人たちの苦労や努力に思いをはせると、身のまわりのものや周囲に「ありがたい」という感謝の気持ちが湧いてくる。
だから、ぞんざいに扱わないし、不要なものを買ってムダにすることができなくなる。
ムダなお金を使わなくなるので、またお金が増える。
お金持ちというのはこのサイクルでつくられていくのだ。
幸せはお金で買える
最後に、私は「幸せはお金で買える」と思っている。
自己満足だとしても、他人を救うことができるのを幸せと感じるなら、お金で買える幸せはある。
難病、大病の人を自分が治してあげることはできないが、治療費の一部を出してあげることはできる。
震災で家をなくした人に、自分が家をつくってあげることはできないが、家を買うお金を出してあげることはできる。
不況で経営がうまくいかない会社を代わりに立て直してあげることはできないが、資金を提供してあげることはできる。
コロナが蔓延する中、自分の力で感染拡大を止めることはできないが、最前線でがんばっている医療従事者に寄付をすることはできる。
毎日の生活のために嫌な仕事をしている人に、それをやめさせて、生活費の支援をすることはできる。
お金で幸せを直接的には買えなくても、お金で不幸は避けられると思う。
(本稿は『時間最短化、成果最大化の法則』の一部を抜粋・編集したものです)