儲かる農業2024 JA農水省は緊急事態#14Photo by Reiji Murai

ダイヤモンド編集部が、事業規模や成長性の観点からポイントで格付けした「レジェンド農家」第5位は、熊本県を拠点にする農業ベンチャーの果実堂だ。特集『儲かる農業2024 JA農水省は緊急事態』(全17回)の#14では、技術と理論で打ち立てた儲かる農業経営の実力に迫る。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

「国内トップ」の実力をベースに
データを駆使したコンサル事業で高収益

 異色の経営者による「サイエンス農業経営」で、急成長している葉物農家がいる。レジェンド農家5位の果実堂(熊本県益城町)は2005年に設立した農業ベンチャーだ。国内トップのベビーリーフ出荷量は、22年度に790トン、23年度に850トンに増加。24年度は910トンの拡大計画を持つ。

 高瀬貴文社長は建築士を経て農業へ転身した異色の経歴だ。土壌の研究に注力し、土を握るだけで水分量を判断できる「触診」の技術を持ち、データを駆使した栽培管理で実績を積み上げてきた。

 果実堂の創業者の井出剛氏は、フードテック企業のDAIZも立ち上げた連続起業家である。その井出氏からスカウトされたのが高瀬氏で、11年に技師長として入社した後、実績を上げて、19年12月に社長に就任した。就任当時10億円ほどのベビーリーフ事業の売上高は23年度に16億円に拡大している。

 次ページでは、主力のべービーリーフ事業で打ち立てた農業経営ノウハウをベースに、コンサルティング事業で高収益を確保する果実堂の経営のノウハウに迫る。