通帳を見て驚く喪服の女性写真はイメージです Photo:PIXTA

高齢化が進む中、「シニア再婚」をする人も珍しくない。そんなシニア再婚をした夫婦、家族でしばしば問題になるのが「相続」だ。特に資産額の大きい富裕層ではトラブルに発展しやすい。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭)

増えるシニアの再婚
相続における注意点は?

 昨今、離婚率の増加も伴ってか、50~60代以上のシニアの再婚が多くなってきています。

 2022年に公表された内閣府男女共同参画局の「結婚と家族を巡る基礎データ」によると、2020年の婚姻全体のうち約4件に1件が再婚で、1970年代以降、その割合は上昇傾向にあります。再婚者の割合は、男性が一貫して高いデータが出ています。

 資産規模別のデータは掲載されていないものの、私の肌感覚では、資産家であるほど、再婚率は比例して高くなる印象があります。60~70歳代で、20歳以上年の離れた妻を迎える経営者などの富裕層は多いです。

 そうした富裕層の再婚において気を付けたいのが、やはり「相続」の問題です。後妻と前妻の子の間でトラブルが起きるケースは多々あります。今回はシニアの再婚こそ、晩節を汚すことになりかねない事象であると考えています。

 富裕層のシニア再婚でよくあるのが、経営者である男性(以下、夫)に後妻と、前妻との間に子どもがおり、夫の死後に相続問題が勃発するパターンです。この場合、絶対的な存在である夫が存命の間は、パワーバランスが保たれているのでもめ事は表面化しづらいです。しかし、夫が亡くなるとパワーバランスが崩れてしまいます。