物流業界で運賃値上げの動きが顕在化してきた。ヤマト運輸、佐川急便の宅配大手2社が4月1日付で2年連続となる値上げに踏み切るほか、JR貨物も5年半ぶりに鉄道基本運賃を改定する。また、国土交通省も4月1日付で「標準的な運賃」の平均8%の引き上げを実施する。4月は働き方改革に伴う「2024年問題」のスタートであると同時に、運賃値上げラッシュの開始ともなりそうだ。(カーゴニュース編集部)
佐川は平均7%、ヤマトは約2%の値上げ
佐川急便は「飛脚宅配便」の届出運賃を4月1日から平均7%引き上げる。23年4月にも平均8%の値上げを実施しており、2年連続での改定となる。同社では、30年に日本全体の輸送力が34%不足するという構造的課題に対処するためには、長期的かつ継続的な労働環境改善が不可欠と判断。値上げ分を原資にして従業員の待遇改善や協力会社への還元に充てていく。なお、佐川急便は今回、値上げ方針を実施半年前となる23年10月に発表し、利用者への事前周知や顧客企業の対応準備に配慮した。
ヤマト運輸も今月、4月1日から宅急便の届出運賃を一部改定すると発表した。こちらも2年連続での改定だが、今回は運賃値上げを大型サイズの宅急便にとどめた。改定率は、23年4月は約10%だったのを、今回は約2%に抑えた。同社は23年4月に約6年ぶりの運賃改定に踏み切った際、外部環境変化による影響を適時適切に運賃に反映するため、年度ごとに見直す考えを表明していた。
国内最大手の2社が2年連続での値上げに踏み切ったことで、今後も特積みなど大手トラックが届出運賃の改定に動き出す可能性がある。なお、福山通運は23年12月11日付で、宅配届出運賃を約6%引き上げたほか、積合わせ運賃を約10%値上げした。