「2024年問題」を3カ月後に控え、さらなる人手不足による物流機器の到来への懸念が高まる中、物流変革の動きが国ぐるみで加速している。荷主や物流事業者は多くの課題解決に向け、本気の対応を迫られる1年となるだろう。新春にあたり、分岐点に立っている「物流」の今後について本紙記者が語り合った。(カーゴニュース編集部)
政策パッケージ、国が動くのは遅すぎた?
A まずは2023年がどのような年だったか振り返ってみようか。
B 昨年は6月に政府による「物流革新に向けた政策パッケージ」、10月には「物流革新緊急パッケージ」が策定されたことをはじめ、国が物流危機の対策に本格的に動き出した年だった。政策パッケージの中身をみると、ざっくりとしたものもあるけれど、踏み込んだ内容の施策も多い。全体的に肝心な部分はしっかりと網羅されている印象を受けた。
かねてからの課題を再掲しただけの部分もあり、何十年も前から指摘されているモーダルシフトの推進など内容の目新しさはないにしても、行政全体で問題を包括的に提起したことに意味がある。国が大きく動いたことで、「2024年問題」への対応を含めた物流の持続性の維持が重要な問題なのだと、よりはっきりと社会に伝わった。また、物流に関連する一般メディアの報道量も増えて、物流が抱えている問題が広く国民に認知されてきたのではないかと思う。今後、各施策の進捗や実効性に注視していきたい。
C 言いにくいけれど2つの理由でがっかりした年だったな。ひとつは、新型コロナウイルス感染症が5類に移行後は経済が回復して荷動きも多少はよくなるのではとの希望的観測が当初あったが、さほど荷動きは戻らなかったこと。国際情勢をみてもウクライナ戦争に続き、イスラエルとハマスの軍事衝突などサプライチェーンの地政学リスクがさらに増加し、中国経済の停滞は顕著に物流に影響を与えている。荷動きの回復にはマイナスの材料が多かったね。
もうひとつ残念というか無念だったのは、政府の「2024年問題」対策。24年4月からドライバーへの時間外労働上限規制が適用され、輸送力不足になるのは分かっていたはず。それなのに対策に乗り出すタイミングが遅くて“今さら感”もある。働き方改革関連法が19年4月に施行された段階ですでに問題の所在を把握していたにもかかわらず、直前になってから慌てて2つのパッケージを打ち出した。1年ごとに予算を立てていく行政の在り方ゆえにある意味仕方ないのかもしれないが…。
B 案外辛口な物言いだね。