「運送業の倒産」が過去10年で最多!“倒産原因の7割”を占めたこととは?写真提供:カーゴニュース

東京商工リサーチによると、2023年の運送業の倒産は過去10年で最多となった。原油高、円安を背景に、燃料費の高騰などの物価高が影響した倒産、ドライバーなどの「人手不足」関連倒産が大幅に増加。価格転嫁が難しい小・零細事業者の倒産が増えており、運送業界の構造改革と同時に、企業側も物流体制の見直しが急務になっている。(カーゴニュース編集部)

*本記事はカーゴニュースからの転載です。

2023年の運送業の倒産は328件
「人手不足」関連倒産は2.2倍に

 東京商工リサーチによると、2023年の道路貨物運送業の倒産は328件(前年比32.2%増)で、14年(310件)以来、9年ぶりに300件を上回った。特に、12月は41件(前年同月比36.6%増)発生し、23年の最多を記録した。月間40件台に乗ったのは、13年6月以来、10年6カ月ぶりで増勢を強めている。

 燃料費の高騰などによる「物価高」倒産は121件(前年比75.3%増)で、前年の1.7倍に増加。燃料サーチャージ制などの導入も一部では進むが、小・零細企業では荷主との力関係から交渉が難航し、上昇する燃料費の価格転嫁が進まない企業も少なくない。

「人手不足」関連倒産は、41件で前年の2.2倍と大幅に増えた。「求人難」が16件(前年5件)、「人件費高騰」が14件(同1件)と急増した。燃料費の高騰が経営に打撃を与えているが、同時に人手確保のための人件費上昇も大きな負担になっている。