JFEHD次期社長の北野嘉久氏(左)とJFEスチール次期社長の広瀬政之氏(右)JFEHD次期社長の北野嘉久氏(左)とJFEスチール次期社長の広瀬政之氏(右) 写真提供:JFEHD

2月6日、国内鉄鋼ナンバー2のJFEがトップ交代を発表した。営業出身の広瀬政之副社長がJFEスチールの新社長に昇格する。新社長の評価は高いが、事業環境は厳しく、早くも課題が山積している。広瀬新社長抜てきの裏事情に迫るとともに、同氏の前に立ちはだかる“三つの難題”の正体を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

「KKコンビ」から「KHコンビ」へ
JFE新社長に託された“喫緊の課題”とは

 2月6日、国内鉄鋼大手のJFEがトップ人事を発表した。4月1日付でJFEスチールの広瀬政之副社長が社長に昇格し、同社の北野嘉久社長はJFEホールディングス(HD)の社長に昇格する。HDの柿木厚司社長は退任し、6月の株主総会を経て特別顧問に就任する。

 この交代劇には、JFEグループ内の各所から「順当な人事」との声が上がっており、今年1月に日本製鉄の橋本英二社長が「会長CEO」への就任を発表した時ほどのサプライズ感はない(日鉄のトップ人事については『日本製鉄が異例のトップ交代、怪物といわれた剛腕・橋本氏が「CEOを復活」させた思惑』参照)。JFEグループの新体制は、2019年から5年間続いた、柿木社長・北野社長の「KKコンビ」の施策を継承・発展させるとみられている。

 JFEHDは19、20年度、コロナ禍の影響もあり2期連続で最終赤字に沈んだ。その後、構造改革などが奏功し、21、22年度は黒字化に成功した。23年度は黒字が確定したも同然であり、3期連続の黒字をほぼ確実なものとしている。

 しかし、鉄鋼業界は依然として大変革期にあり、JFE新体制の船出は決して順風満帆ではない。

 次ページでは、広瀬新社長抜てきの裏側に迫るとともに、北野社長・広瀬社長の「KHコンビ」の前に立ちはだかる“三つの難題”の正体を明らかにする。