地政学リスクや急激な円安といった外的要因が企業経営のかじ取りを難しくしている。経営者はどのように見通し、どんな決断と行動に打って出るのか。トップ経営者8人に2024年の「地政学リスク」について問うた。(ダイヤモンド編集部)
JFE社長「中国ビジネス減らすことも」
三菱電機社長は“間接的”影響を想定
米中対立に加えてロシア・ウクライナ戦争、中東情勢の緊迫化などが企業経営のかじ取りを難しくしている。見通しの難しい外的要因を抱える今こそ、経営者は手腕が試される。2024年の地政学リスクをどのように見通し、どのような行動に打って出るか。日本を代表する企業8社のトップに問うた(23年末時点)。
鉄鋼大手であるJFEホールディングス(HD)の柿木厚司社長は、米国との対立だけでなく、台湾問題なども懸念される中国での展開について「日系自動車のプレゼンスが落ちており、中国ビジネスを今後は減らすこともあり得る。少なくとも大きな拡大はない」としている。
三菱電機の漆間啓社長CEOは、間接的な影響についても想定する。ロシアや中東など争いが起きているエリアについて、直接的な取引が少なくても「戦争が長引いて欧州経済の停滞が続けば、空調需要の伸びが鈍化する」(漆間社長)ことはあり得るのだ。
次ページでは、三菱商事のトップが米中対立による中国ビジネスへの影響とは別の「驚異」を明らかにする。また、三菱UFJ銀行や三井住友銀行、富士フイルムホールディングス(HD)、関西電力、大阪ガスの各トップが地政学リスクの具体的な影響や“備え”について語る。