「手段の時代」から「目的の時代」へ――はじまった目的工学の取り組みをさまざまな形で紹介していく。『利益や売上げばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのかーードラッカー、松下幸之助、稲盛和夫からサンデル、ユヌスまでが説く成功法則』の第1章「利益や売上げは『ビジネスの目的』ではありません」を、順次公開している。
前回は、「あなたは目標の奴隷となっていないか?」と問いかけたが、続く第3回では、「目的に目覚めた人たち」の筆頭にあげられるソーシャル・アントレプルナーと、その考え方にスポットをあてる。
ソーシャル・アントレプルナーの
多くに共通していることは何か?
もっとポジティブに考えましょう。
いつの時代も、元気な人たちがいるものです。真っ先に浮かんでくるのが、「ソーシャル・アントレプルナー」、あるいは「社会起業家」と呼ばれる人たちです。
シンクロニシティ(共時性)と言うべきでしょうか、20世紀から21世紀に移行するあたりから、まるで示し合わせたかのように、途上国でも先進国でも、これまで放置されていた社会問題の解決に挑戦するビジネス・パーソンが次々に現れ、やがて彼らはソーシャル・アントレプルナーと呼ばれるようになりました。
これら高き志(こころざし)の持ち主たちは、第1回で紹介したポーターが言っているように、社会的価値と経済的価値を同時に実現するために、一般的な企業では思いもつかない、あるいは思いついてもためらわれるような革新的なアイデアやビジネスモデルをあみ出し、また失敗してもめげることなく、一心不乱に取り組んでいます(図表1-2「新しい企業モデル」を参照)。
これらソーシャル・アントレプルナーの多くに共通しているのは、ポーターやドラッカーが言うところの目的(パーパス)に目覚めた人たちであることです。