アイルランドのナショナルデーは、キリスト教を布教した聖パトリックの命日に当たる3月17日である。アイルランド移民が多いアメリカでは緑の日として祝われる。

 ポルトガルは6月10日で、この日は国民的な詩人であるルイス・デ・カモンイスの命日だ。

 ナショナルデーが独立記念日である国も複数ある。

 その代表がアメリカで、7月4日にペンシルベニア州フィラデルフィアで独立宣言が出された。

 インドは1月26日が、英連邦を脱して完全独立を果たした共和国記念日だ。インドネシアは、終戦日の翌々日である1945年8月17日にスカルノらが独立を宣言した。なお、この時の独立宣言書の年号は西暦1945年ではなく皇紀2605年が使われていることでも知られている。

 オランダは、4月27日が現国王ウィレム=アレクサンダーの誕生日、デンマークも新国王フレデリック10世の誕生日である5月26日、ルクセンブルクは6月23日。モロッコは国王の即位記念日である7月30日だ。

 そのほか、ベルギーは7月21日の独立記念日、ノルウェーは5月17日の憲法記念日、スウェーデンは 6月6日にグスタフ・ヴァーサ王がスウェーデンの国王として選出された日として、近年になって建国記念日になった。

 フランスの7月14日は、革命記念日といわれるが、厳密にはバスティーユ牢獄襲撃の日であり、新体制が誕生した日ではない。

 それと同様の発想なのが中華民国で、辛亥革命の発端となった武昌蜂起の10月10日を双十節とした。トルコもオスマン帝国を倒した10月29日を共和国記念日としている。

 一方、中華人民共和国は、天安門広場で新国家建国宣言が行われた10月1日を祝っている。

 ロシアはソ連時代に独立宣言をした6月12日をロシアの日としている。それに対し、ウクライナは、ソ連が崩壊してウクライナが完全な独立国家となった8月24日を独立記念日にしている。

 ドイツは東西ドイツが統一した10月3日のドイツ統一の日、スペインはコロンブスが新大陸を発見した10月12日のイスパニアデーを、それぞれナショナルデーとしている。

(評論家 八幡和郎)

【訂正】記事初出時より以下の通り訂正します。
2段落目
アメリカの独立記念日(7月14日)→アメリカの独立記念日(7月4日)
(2024年2月26日9:58 ダイヤモンド編集部)