運動したい、でもできない……。そこで本連載は論文マニアとしても有名な大谷義夫先生(医師)が、82の論文、世界の最新エビデンスをもとに正しく効果的な歩き方を書いた本『1日1万歩を続けなさい』から、今日から役立つ「歩き方のコツ」をお伝えします。ウォーキングは体にいい。それはたしかに事実です。でも実は「ただ歩くだけ」では効果が出にくいことをご存じでしょうか。同じ歩くなら「科学的な歩き方」で「最大効果」を手に入れる。ここを目指してみてください。
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次々とアイデアがわいてくる
学会発表や研究論文の作成、執筆、テレビ向け資料をどうまとめるかなど、かつての私はそのアイデアをプールで泳ぎながら練っていました。
しかしコロナのため、私は水泳をウォーキングに切り替えたのですが、その中で私が実感したことは、「歩くことで創造力が高まり、ひらめきが生まれるのではないか?」ということでした。
歩きながら景色が変わるせいか、リズミカルに有酸素運動をしているせいか、次々とアイデアが浮かぶのです。
ジョブズもザッカーバーグもヘンリー・ソローも
そういえば私の恩師である東京医科歯科大学前学長の吉澤靖之先生は昔、スカッシュをしていましたが、48歳からウォーキングに切り替えました。
永田町の朝6時にも、ウォーキングをする国会議員の姿が見られます。
スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグが「ウォーキング会議」を開いていたことはよく知られていることですし、古くは『森の生活』を書いたヘンリー・D・ソローも、歩きながらひらめきを得ていました。
「発想を得る」体験をする
ウォーキングでシンプルに散歩を楽しむ人もいれば、私のように考えごとをする人もいるのでしょうが、気分転換のみならず「新たな発想を得る体験」をした方は、少なくないかもしれません。
科学的根拠が多く見つかる
ただ私は医師ですので「歩くとアイデアが浮かぶ」と、自分1人の体感でその効果を伝えることはできません。
そこで調べてみたところ「ウォーキングが脳に効く」科学的根拠を数多く見つけることができました。
「ウォーキング会議」の効果
その中には以下のようなものもありました。
電気通信大学は「ウォーキング会議でアイデアが生まれ、議論が活性化する」という研究を発表しています(※1)。
その他、デンマークでも、座位時間を減らすためには「立って会議を実施すべき」という論文(※2)が発表され、アイデア創出の有効性をコメントしています。
みなさんもアイデアに詰まったら、まずは歩いてみませんか?
※より効果的にアイデアを得るには歩き方に「コツ」があります。お時間のある方は、本も参照してみてください。
※本稿は大谷義夫著『1日1万歩を続けなさい』より、一部を抜粋・編集したものです。本書にはウォーキングの効果にまつわるさまざまなエビデンスと、具体的で効果的な歩き方が紹介されています。ウォーキングで効果を出すには歩き方に「コツ」があります。このコツを本書でぜひ掴んでください。
【参考文献】
※1 室井 健一, 他. ウォーキング会議の効果に関する基礎的な検討 日本知能情報ファジイ学会 第 32 回ファジィシステムシンポジウム 講演論文集 2016; 665-668.
※2 Danquah IH et al. Standing Meetings Are Feasible and Effective in Reducing Sitting Time among Office Workers―Walking Meetings Are Not: Mixed-Methods Results on the Feasibility and Effectiveness of Active Meetings Based on Data from the “Take a Stand!” Study. Int J Environ Res Public Health. 2020 Mar 5;17(5):1713. doi: 10.3390/ijerph17051713