交通ルールを守ったつもりでクルマを運転していても、実際は詰めが甘く、交通違反で検挙されてしまう――。車道はそんな悲劇であふれています。では、どんな点に配慮すれば法規に違反せずに済むのでしょうか。安全運転講習会や試乗会のインストラクターも務める、モータージャーナリストの筆者が解説します。(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一)
交通違反の年間トップは
「一時停止違反」
内閣府が毎年発行している交通安全白書には、交通違反の取り締まり件数(告知・送致)が項目別に掲載されています。
令和4年度(2022年度)の順位を見てみると、一時停止違反(146万6131件)、最高速度違反(93万2260件)、通行禁止違反(69万7682件)、信号無視(52万1829件)――という結果になっていました。
過去のデータも見てみると、面白いことに平成29年度(2017年度)までは最高速度違反が多く、平成30年度(2018年度)からは一時停止違反が多くなっているようです。大きな法改正があったわけではなく、急にスピード違反者が減ったとも思えません。これは取り締まりの方針が変わったと見るべきでしょう。
いずれにせよ、理論上は全てのドライバーがきちんとルールを守っていれば、こうした交通法規違反は起きないものです。しかし現実的には、上記の通り膨大な違反が起きています。
その背景には、ドライバーのどんなミスや勘違いがあるのでしょうか。また、取り締まりに当たって、警察官はどのような点に着目しているのでしょうか。安全運転講習会や試乗会のインストラクターも務める、モータージャーナリストの筆者が解説していきます。