シダックス 謀略ゲーム#4Photo by Yoshihisa Wada

上場廃止したシダックスを巡り、少数株主の株式を強制的に買い取る価格が安過ぎるとして、香港投資ファンドのオアシス・マネジメントが裁判所に価格決定を申し立てる準備を進めていることが分かった。シダックス創業家とオイシックス・ラ・大地が仕掛けたMBO(経営陣による買収)に「待った」をかけるアクティビストに勝算はあるのか。オアシス最高投資責任者のセス・フィッシャー氏が、ダイヤモンド編集部の取材に応じた。特集『シダックス 謀略ゲーム』(全4回)の最終回は、その一問一答をお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

「シダックスは説明責任を果たせ」
1株当たり800円の買い取り価格に疑義

「シダックスには必ず説明責任を果たしてもらわなければならない」

 シダックスが上場廃止に際して実施するスクイーズアウト(株式の強制買い取り)について、そう語気を強めるのは香港の投資ファンド、オアシス・マネジメント最高投資責任者(CIO)のセス・フィッシャー氏だ。3月15日、セス氏がダイヤモンド編集部の独占インタビューに応じた。

 シダックスは2023年11月、志太勤一会長兼社長ら創業家の資産管理会社、志太ホールディングス(HD)によるTOB(株式公開買い付け)を実施。12月にTOBは成立し、志太HDが議決権ベースでシダックス株の81.43%を保有した。

 24年1月にはオイシックス・ラ・大地が志太HDの第三者割当増資を引き受け、志太HDの3分の2の議決権を掌握。志太HDを介してオイシックスがシダックスを子会社化した。さらに2月28日のシダックス臨時株主総会で株主併合などの議案が可決され、志太HDが少数株主の保有分を強制的に全て買い取るスクイーズアウトの実施が決まった。

 全てが順調のように見える。だが、残る少数株主の中に存在したのが、オアシスだった。

 オアシスは、シダックスがTOBを公表した23年11月10日の直後から株式を買い集め、大量保有報告書によれば9.74%を保有する。セス氏はその取得目的について「株価が上がってしかるべきだと考えたからだ」と言う。

 志太HDが株主から買い取る価格は1株当たり800円だ。だが、この価格決定プロセスには二つの重大な疑義があるといい、セス氏は「われわれが適正と考える価格よりかなり低い」と指摘する。

 その「疑義」とは何か。次ページでセス氏への独占インタビューと併せて公開する。