上場会社を非公開化するMBOの動きが活発化している。直近では大正製薬ホールディングスやベネッセホールディングスといった大企業が踏み切るケースが出てきた。その際、買い付け価格は時価に数十パーセントのプレミアム(上乗せ幅)が加えられるため、株価が大きく上昇することも多い。特集『バブル再来!株価を動かす重大ニュース 人事、再編、物言う株主の思惑…記者が総力取材』(全18回)の#5では、「MBOしやすい会社ランキング」を作成して次の大正製薬、ベネッセとなる上場企業はどこかを探った。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
上場企業を非公開化するMBOが活発化
次の大正製薬、ベネッセを大予測!
経営者が自社株式をTOB(株式公開買い付け)で買い戻し、上場会社を非公開化するMBO(経営陣による買収)の動きが活発化している。M&A(企業の合併・買収)助言会社のレコフによると、昨年のMBOの金額は初めて1兆円を超えた。
中堅企業にとどまらず、大正製薬ホールディングスやベネッセホールディングスといった大企業でもMBOを決断するケースが出てきている。その注目度は高まるばかりだ。
MBOが盛り上がりを見せている背景には、上場維持コストの増加がある。最上位の東京証券取引所プライム市場では、英文などでの情報開示が義務付けられた。
さらに、株価が割安になっている上場企業に対して、証券取引所や株主の要求が強まっている。東証は昨年3月、PBR(株価純資産倍率)が1倍割れの企業に改善を求めた。不採算事業の売却や大規模な増配など、アクティビスト(物言う株主)が企業に厳しい要求をする事例も相次いでいる。
非公開化できれば、こういった上場維持コストやアクティビストの強硬な要求から逃れることができる。また、短期的な株価変動を気にせずに、中長期の視点で企業経営に取り組んでいきたいという企業も増えている。
もちろん、MBO実施の対価は安くない。既存株主から株式の大半を買い集めるため、多額の資金が必要になる。
その際、買い付け価格は時価に数十パーセントのプレミアムを乗せた水準が示されるため、一般の株主にとっては株価上昇によるもうけのチャンスとなる。そこで今回、ダイヤモンド編集部は「MBOしやすい会社ランキング」を作成した。
経営陣は通常、借金をしてMBOを実施する。MBOの資金を融通できるか判断するのに、大手銀行が実際に使っている指標として「MBOレシオ」がある。銀行や大手証券への取材に基づいて、この指標の詳細を確かめた上で計算し、ランキングした。
23位にディー・エヌ・エー(DeNA)、14位にノジマがランクインした。1位になった上場企業はどこか。次ページで、次の大正製薬、ベネッセになりそうな上場企業をチェックしていこう。