ポストコロナ「勝ち組」の条件#13写真提供:オイシックス・ラ・大地

コロナ禍に伴う外出自粛は、有機野菜の宅配サービス、オイシックス・ラ・大地を“勝ち組”へとのし上げた。特集『ポストコロナ「勝ち組」の条件』(全18回)の#13では、コロナ禍でも顧客のニーズは移り変わっていると語る高島宏平社長に、ポストコロナ時代を生き抜く秘訣について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 山本興陽)

「もう安心な人」と「まだ不安な人」に二極化する
コロナによる売り上げの伸びはごく一部

――新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、消費行動が変化しています。元に戻るのでしょうか。

 分からないですね……。ただ、感染の第2波が来なかったとしても、影響は残ると思います。

――どういった影響ですか。

「もう安心な人」と「まだ不安な人」に消費者は二極化するでしょう。これは、福島第一原子力発電所事故のときもそうでした。放射線という見えない脅威に対して、人々の捉え方には個人差が大きかった。

 今回の場合は、「まだ不安な人」にとって良くない状況です。というのも、放射線の場合は自分だけが気を付けていればよかったですよね。

 ただ今回は、「もう安心な人」が活発に動き回ることによって余計不安になるでしょう。「もう安心」派に対する拒否感みたいなものも出てくると思いますね。

――巣ごもり需要によって、サービス利用が増えていると聞きました。

 710億円の売り上げ(2020年3月期)のうち、コロナ禍拡大による伸びは(売上高が前期比で約86億円増加したうちの)9億円程度です。そういう意味では、ベース部分の成長ができていると思っています。今回のような特殊なニーズの高まりはいずれ落ち着くでしょうし。

 元々成長できているので、“二極化”した世の中においても、強みを伸ばしていきます。成長できているほとんどの要素が「Oisix」ブランドにあります。これは、より短い時間で、より充実した食生活を送りたいという、一見相反することを同時にかなえたいという方々が増加していることの表れでしょうし、支持を集めている要因だと捉えています。

 たとえ、コロナで世の中の状況が変わったとしても、こうした食生活のニーズは突然なくなったりはしない。ベースのニーズはまだ十分に強いと認識しています。