30代で東証プライム上場企業の執行役員CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)となった石戸亮氏が、初の著書『CDO思考 日本企業に革命を起こす行動と習慣』(ダイヤモンド社)で、デジタル人材の理想的なキャリアについて述べています。
デジタル人材は、ビジネスの現場でどのように求められているのか。
本当に需要のあるデジタル人材として成長するためには、どんなスキルを身につければいいのか。
デジタル人材を喉から手が出るほど欲している企業に迎え入れられ、そこで重用されるには、どんな行動を取ればいいのか。
本連載では、デジタル人材として成長するためのTo Doを紹介していきます。
「情報の古い」人材になってはいけない
新しいサービスを提供するスタートアップは日々雨後の筍のように誕生しています。以前からあった会社も次々と新しいサービスの発表や機能のアップデートを頻繁にしています。昨今のテック系界隈は生成系AIがトレンドでもあり、キャッチアップするのは正直言って大変です。ただ、新しいものを全部追いかけるのは限界があるとしても、月に最低1、2社くらいはそういった会社の人と会話をしておくことをおすすめします。必要に駆られないと、新しいサービスや普段から契約しているツールのアップデート情報を入手しない人があまりにも多いので、正直1、2社では少ないのですが、まずはできる行動や習慣として最低1、2社は毎月と言っています。ネットだけでは不足。ここでも一次情報が大事です。
その際は、新規に立ち上がったサービスだけでなく、既存のサービスのアップデートも押さえるようにしてください。よくいるのが、「情報が古い」人。あるサービスについて3、4年前に聞いた情報がアップデートされておらず、昔の状態をそのサービスの現状だと思いこんでいる。「グーグルカレンダーやSlack、5年前から使っているから知っていますよ」と言っている人が、最新の機能のアップデートを実はあまり知らなかったりする。
比較的大きいテック系のプラットフォーマーには、1年に1回ぐらい最新の話を聞いておくのがよいと思います。特にSaaSと言われるサービスは、機能を拡充していくので、とても便利になっているにもかかわらず、新しい機能を使いこなせていない会社や人がたくさんいます。知らないうちに特定の機能だけだったツールが、様々な業務を一連で行える機能拡充をしていたりします。部分最適だった課題解決が全体最適も行えるのです。SaaS企業は機能拡充やリソースを投下して、より良いサービスに進化していくので、ライセンス費用が値上がりしていきます。その時の値上がりが「高い」と感じる人と「投資対効果に見合っている」という人で差が出るのです。
その「最新の話」をどこで聞くか。
自分の会社が実際にそういうプラットフォーマーなりツール開発会社なりと取引があるなら、直接聞けばOKです。自分の部署がやり取りしていなくても、やり取りしている部署を介して紹介してもらえばよいでしょう。
では、取引がない場合はどうするか。実は、そういう会社は企業に導入してもらうべくウェビナーやセミナーを山ほど開催していますから、そこに登録して積極的に参加してみてください。サービスの最新状況はそこで全部聞けます。スタートアップやSaaS系の企業は特に開催頻度が高いので、月に2、3社は行けると思います。
そして、導入企業の生の声も大事です。プラットフォーマーなりツール開発会社は基本的に自社のサービスを「売りたい」というバイアスは少なからず持っています。そこで実際の導入企業にも話を聞きます。うまく使いこなしている会社と、使いこなせていない会社両方に聞くことをおすすめします。
※本稿は『CDO思考 日本企業に革命を起こす行動と習慣』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。