30代で東証プライム上場企業の執行役員CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)となった石戸亮氏が、初の著書『CDO思考 日本企業に革命を起こす行動と習慣』(ダイヤモンド社)で、デジタル人材の理想的なキャリアについて述べています。
デジタル人材は、ビジネスの現場でどのように求められているのか。
本当に需要のあるデジタル人材として成長するためには、どんなスキルを身につければいいのか。
デジタル人材を喉から手が出るほど欲している企業に迎え入れられ、そこで重用されるには、どんな行動を取ればいいのか。
本連載では、デジタル人材として成長するためのTo Doを紹介していきます。
イベント何度でひたすらたくさんの人と名刺交換する人がいますが、それだけではまったく意味がありません。私も最初の頃は1回のイベントで100人前後と名刺交換しましたが、そのうち5人くらいは営業訪問するものの、残りはほとんど意味がなかったと言えます。作業的に名刺交換しているだけなので、申し訳ないことにろくに顔も覚えていませんでした。向こうも同じでしょう。
イベントや交流会に参加する際には、ただやみくもに名刺を配るのではなく、自分と同じような課題意識や感覚を持っている人を探すようにしましょう。100人のうち1人か2人でもいいのです。その人たちと親密になれば、あなたにとって自然と意味のあるコネクション、いわば「社外の同志」が広がっていくはず。
大事なのは、そういう人たちと「普段から」つながっておくこと。何かあった時にチャット1本で相談できますし、メンターとして頼れる存在になったりもする。直接の取引先などではない社外の知り合いは、本当に重宝します。優秀なビジネスパーソンほど、社内よりも社外を頼る。「社外も含めて組織」という意識なのです。
普段から外とつながっていないと、ことあるごとに「普段付き合っているベンダーや広告代理店に状況を聞こう」「お金を払ってリサーチ会社に頼もう」という発想になりがちですが、一次情報には劣ります。
昨今ではDX推進において、普段から外とつながっているかどうかが成否を分けることもあります。たとえば、「DXのプロジェクトを進める。半年後にデジタルのシステムを導入すべし」という会社決定があり、突然担当に任命された社員が「さあどうしよう」となった時、そこで初めて情報収集をスタートしても限界があります。やれることと言えば、付き合いのあるベンダーに聞く、ネットで調べる、導入候補のシステムを2、3社比べる、くらい。それで比較表などを一生懸命作り、なんとなく決めてしまう。
導入後にうまくいくケースもありますが、その道に詳しい人からすると評価ポイントに抜け漏れがあったり、導入するという手段が目的化して、あたかも正当化したような比較表や社内審議資料が作成される場面を多く見てきました。
でも、普段から外部とつながっていれば、もっと大局的な情勢やリアルな一次情報をつかむことができます。そのシステムは、今入れるタイミングではないのではないか? とりあえず今は様子見で、むしろ早急に手を付けるのは別のことでは? そんな目利きや判断もできるのですから。
実際に導入となった時には、支援してくれるベンダーや代理店が何社・何人いるかが効いてきます。これも「普段から」の付き合いが前提。DX系のプロジェクトは自社の現業戦略ではできないことがほとんどなので、普段お付き合いのない外部のパートナーや、同じパートナーであっても違う部門とのつながりは普段から大事にしておきましょう。
優秀なデジタル人材ほど、いつでも連絡できる関係性で社外にたくさんのつながりをもっています。これは間違いありません。
※本稿は『CDO思考 日本企業に革命を起こす行動と習慣』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。