「食事は、週7で外食か弁当」「家族に任せっぱなし」「いざ作っても、正解がわからない!」──便利な時代になろうと、現代人の料理の悩みは尽きません。自炊上手になれば、自分の好きな味を食べられ、家計節約、健康管理もできるなどいいことずくめ。それをわかっていても、料理を始めるきっかけが作れない人も多いでしょう。
少ない材料で作れる/時短/ボリューム満点と3拍子そろったイタリア料理こそ、自炊の突破口だと提案するのが『プロの味が最速でつくれる! 落合式イタリアン』。本書は、料理人人生60年のイタリア料理の伝説シェフ・落合務氏の集大成にして入門レシピ本。ひとりでも家族でも作りやすいパスタ、肉料理、野菜レシピ、ドルチェまで56品を紹介。プロのシェフとして、ときに家庭人として、同じ料理を何度も作ってきた百戦錬磨のコツを教わります。
料理ができないなら、イタリアンを作ればいい
イタリア料理は、世界で一番かんたんかもしれない。毎日食べても飽きない! だから家庭でこそ作ってほしいんです。
今でこそイタリアでも、フランス料理のようなおしゃれな見た目の料理が出てきているけど……。僕が修業した50年ほど前のイタリアでは、焼いただけの肉がドンと皿にのって出てきたり、なすだけをソテーした料理だったり。「おい、なんだよ、これ。もうちょっと手をかけろよ」と言いたくなるようなものばかりでした。
「付け合わせの野菜もないのかよ」と思いながら、唯一添えられているレモンを搾って肉を口に入れてみると……しみじみうまいんですよ。「しみじみ」っていうのを、イタリアですごく感じました。
イタリア料理は素材をそのまま生かして料理にする。だからしみじみおいしくて、毎日食べても飽きない。これって最高だよな、と思いました。道具も鍋ぐらいしか使わないから、洗い物も少ないしね。
田舎に行くと特にそうだけど、イタリアでは家で作る料理と、レストランの料理にあまり差がない。でも、肉は大きなかたまりのまま焼いて、みんなで切り分けて食べたほうがうまいじゃないですか。そういう肉や魚をみんなで食べて飲んで、おしゃべりを楽しんで、パワーをもらいたいときにレストランへ行くわけです。
つまりかまどの大きさの違いぐらいで、料理自体は家庭で作るようなものが基本なんですよ。だから日本の家庭でも、イタリア料理は作りやすいんです。
そのうえ、野菜をおいしく食べられる料理もいっぱいあるんですよね。一度にたくさん作りおきできるから、毎日繰り返し食べても飽きない! イタリア料理はシンプルで、本当に飽きないんです。
そういう料理を、今回の本ではいろいろ紹介したいと思いました。僕がイタリアで出合って、「しみじみうまい」と思った昔ながらのシンプルな料理です。家庭で作りやすいように手順をかんたんにしてあったり、中には落合式のあっと驚く裏技レシピも登場したりします。
からだによくて、早くかんたんにできて、何しろおいしい。そこを目指して、さぁ、作りましょう。
(本稿は書籍『プロの味が最速でつくれる! 落合式イタリアン』の一部抜粋・編集したものです)
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\読者から大反響の声、続々/
「テレビで見たパスタが普通の材料で簡単に美味しそうだったので、まず書店で中身をチェックした。継続して作れそうだったので購入しました。からだによくて、早くかんたんにできて、何しろおいしい。本当にその通りでした。家族の評判も良かったです」(50代女性)
「落合シェフの料理が簡略化されているというのはどういうことなのかとても気になり購入。確かに簡単でおいしそうだったので、全卵で作れるカルボナーラを実際に作ってみたら、今まで作った中で一番おいしいカルボナーラになった」(60代男性)
落合 務(おちあい・つとむ)
「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」オーナー
1947年生まれ。17歳で料理の道に進む。19歳でホテルニューオータニに移りフランス料理を学び、その後洋食レストラン「トップス」へ。28歳のときにフランス旅行の帰路でイタリア料理の素晴らしさを知り、その後2年8か月間、イタリア各地で修業。日本に帰国後、1982年に東京・赤坂のイタリア料理店「グラナータ」の料理長に就任。1997年7月に東京・銀座で「LA BETTOLA da Ochiai」をオープン。たちまち予約の取れないレストランとなり、日本イタリア料理界の先駆者として知られるようになる。イタリアから「カヴァリエーレ章(勲三等)」「イタリア連帯の星」勲章(OSSI)などを受章。平成25年度「卓越した技能者(現代の名工)」、令和2年「黄綬褒章」受章。現・日本イタリア料理協会名誉会長。
シェフ・落合務からのメッセージ
料理が苦手、料理なんて作りたくない……っていう人も、世の中にいていいと思うんです。料理を作るのが嫌なら、無理に作らないで、レストランに行ったほうがいい。そのほうが食材の無駄も出ないし、後片づけをする必要もないし、第一、僕ら料理人もありがたい。
でも、料理を作ってみるのも面白いぜ、とも僕は言いたいんです。自分が何かを創造できるってすてきだし、自分の作ったものを人が食べて、お腹が満ちて笑顔になってくれたら、こんなに幸せなことはないです。
最初から上手にできる人なんていないんですよ。野球の選手だって、将棋の棋士だって誰だってそう。練習したり、場数を踏んだりして、上手になっていく。だから料理も最初は失敗したとしても、あきらめないでほしい。あきらめないで、作り続けてほしい。そうすれば必ずうまく作れるようになります。
食は、筋が通っているからいいんです。筋を通さないと、おいしい料理は作れません。野菜は繊維に沿って切るとか、パスタは必ず沸騰したお湯でゆでるとか、それをしなければいけない「筋」っていうのがある。その筋さえ通せば、必ずうまくいく。
人生もそうでしょう。筋を通すかどうか。筋を通さないで「ま、いっか」でいい加減なことをしていると、僕は何事もうまくいかないと思う。
時々「昔とレシピが違っている」と言われることがあります。同じ料理でもレシピがちょっと違っている、って。当たり前です。「こうやって作ったほうがうまくいく」「こんな食材が出てきたから、こっちを使ったほうがいい」って、料理人は毎日進化しているんだから。みなさんによりおいしい料理を食べてほしい。みなさんによりおいしく作ってもらいたい。そういう気持ちがあるからこそ、進化しているわけです。それもまた、世の中に対して筋を通すということです。
だから、料理も生きるのも、シンプルでいいんだと思う。食べる人のこと(自分だっていい)を考えて、楽しみながら一所懸命やる。今度はもうちょっとうまくやろうと思って、やり続ける。料理を通して僕がみなさんに伝えられるのは、そんなことなんだろうな、って思います。
1章 僕の人生ベスト
落合式イタリアンの原点!
1位 思い出の野菜パスタ
2位 ディアボラチキン
3位 和風バーニャカウダ
4位 スペアリブの煮込み
5位 トマトの冷製パスタ
6位 シンプルリゾット
7位 レモンバターのピカタ
8位 落合式タルタル
9位 たっぷり野菜のミネストローネ
10位 落合式ティラミス
2章 最高のパスタ
何度作っても絶対においしい
パスタの基本
すりごまのアーリオ・オーリオ
かんたんボンゴレ
ひとりぶんジェノヴェーゼ
トマトジュースの濃厚パスタ
ボスカイオーラ
アマトリチャーナ
もちのクリームパスタ
うに風トマトクリームパスタ
全卵カルボナーラ
落合式ナポリタン
かんたんボロネーゼ
焦がしバターの明太パスタ
3章 イタリアンおかず
いつもの食卓を格上げする!
イタリアンカツレツ
落合式サラダチキン
親子フリッタータ
ストラチェッティ
自家製サルシッチャ
ボルベッティ
イタリアンハンバーグ
豚のタリアータ
ベーコンとなすのカポナータ
ボリート
4章 まかない飯
ぱぱっと作れてうまい
ラ・ベットラのトマトカレー
もちベシャメルのグラタン
イタリアンチャーハン白
イタリアンチャーハン赤
ピッツァイオーラごはん
カチャトラ丼
5章 副菜一皿
野菜ぎらいの僕が大好きな味
なすとズッキーニのアーリオ・オーリオ
ブロッコリーのアーリオ・オーリオ
ゆでズッキーニ
落合式ポテサラ
玉ねぎのビネガー炒め
なすのハーブマリネ
トマトマリネのカプレーゼ
目玉焼きのせオムレツ
いかと玉ねぎのフリット
豆とパスタのどろどろスープ
チーズポテトフォンデュ
焼きパプリカのマリネ
イタリアンピクルス
6章 ドルチェ
幸せな食後を約束する
レモンティラミス
パンナコッタ
プリン
落合式モンブラン
プルーンの赤ワイン煮
本書のポイント
◎3STEPの工程写真たっぷり掲載で、わかりやすい!
◎パスタ=1人分の分量レシピで汎用性抜群
◎おかずや副菜など、家族ごはんにも最適!!
◎落合シェフのイタリア修業時代コラム