子どもから大人まで数学を苦手とする人は非常に多いのではないでしょうか。ましてや高校数学ともなるとほとんどの人が挫折してしまった経験を持っているでしょう。しかし、高校数学の基礎は丁寧に学べば特別難しいものではなく、同時に得た知識は私たちの生活にも大きく役立ちます。そんな高校数学の超入門書として書かれたのが『【フルカラー図解】高校数学の基礎が150分でわかる本』です。本記事でははじめての人から大人の学び直しまで1人で高校数学が学べる本として発刊された本書をもとに米田氏のオリジナルコンテンツをお送りします。(初出:2023年8月20日)
なぜ、数学の学び直しでつまずくのか
近年、社会人の間で数学の学び直しがブームになっています。しかし、数学を学び直すのは全く簡単なことではなく、途中で挫折してしまう方も少なくありません。
そこで本稿では、挫折してしまう代表的な原因として4つを紹介します。
原因1:分量が多い
1つ目の原因は「分量が多いこと」です。一般的な高校数学の教科書はとても長く、文系が学ぶ範囲(数学2Bまで)に限っても合計800ページ以上あります。
さらに、教科書というものは1ページにたくさんの内容を詰め込んでいるので、人によっては2000ページや3000ページのように感じると思います。ですので、途中で挫折するのも全く不思議なことではありません。
原因2:イメージできない
2つ目の原因は「内容をイメージできない」ことです。高校数学にもいろいろな単元があるのですが、特に微分積分や指数対数などの「数式がたくさん出てくる単元」では、内容を頭の中でイメージすることができず、結局何もわからないまま終わってしまう人も少なくありません。
たとえば、以下は積分の基本的な公式の1つなのですが、どういうことを言っているのかイメージできますでしょうか。おそらく多くの人は「全くできない」と思うでしょう。これが挫折する理由の一つです。
原因3:どう役立つかわからない
3つ目の原因は「数学の役立ち方がわからない」ことです。たとえば英語の場合、外国人と話したり、英語のニュースを読んだりするときに役立つのは誰でもわかることだと思います。
しかし数学の場合、(役に立つのは紛れもない事実なのですが)どう実生活に役立つかを知っている人はそれほど多くありません。
ですので、学び直しの途中で「なぜ数学なんてものをやらなければならないのか!」という気持ちになり、モチベーションが下がってしまう人もたくさんいます。
原因4:積み上げ式の科目である
4つ目の原因は「数学が積み上げ式の科目である」ことです。たとえば日本史の場合、奈良時代の歴史を知らなくても江戸時代の歴史を理解することができます。
しかし数学の場合、そうはいきません。たとえば文字式を知らなければ関数を理解できず、関数を知らなければ微分積分を理解できません。
そのため、中学範囲を忘れていたせいで高校数学が全然理解できない、というパターンも学び直しでは往々にして起こります。
このように、
・学ぶべき分量が多い
・内容が頭の中でイメージできない
・数学がどう役立つかがわからない
・積み上げ式の科目である
などの理由で、学び直しで挫折する人は決して少なくありません。