自動車業界のトレンド変化が不動産業界に影響を与える

 同じ状況はタワーパーキングでもあるが、タワーパーキングの場合には事態はもっと深刻だ。
 僕はタワーパーキングを保有しているが、募集して駐車スペースを借りたいとやってきたお客さんを、ほとんど断ることになる。
 先ほどの例のように時代の変化によって車を保有する世帯が減ったとしても、その少ない中から駐車場を借りに来る人は当然いる。しかし現在では、古いタワーパーキングの場合にはそのほとんどを断ることになってしまった。

 この理由があなたは分かるだろうか?
 タワーパーキングを買うということは、そこに駐車場需要がある限り投資としては成立する不変のルールというものがあるのであろうか。

 今回変わってしまったのは、それも非常に長期のトレンドでと思われるが(僕は自動車メーカーではないので詳細は割愛するが)、購入者ではなく車の側だ。
 古いタワーパーキングの場合には1550ミリの高さ制限があるものが多いが、最近のミニバンはこれでは止められない。軽自動車でも車高が高いものが増えて車幅も大きくなってきていて、20年前のタワーパーキングでは収まらないものが多くなっているのが現状だ。
 というわけで、募集してやって来た車が駐車しようとすると、車高、車重の制限が昔の規格では合わなくて、お断りするという次第なのだ。

 さすがに自動車メーカーならぬ不動産投資業の人間にとっては、自動車の大きさのトレンドの変化はとても読み切れる話ではなかった。
 車のサイズというのは不変ではなかったのだ。

 僕は白金に住んでいるので、プラチナ通りに車でランチにいくことがある。昔からある飲食店の地下駐車場には、我が家の車は車高の問題で入れない。
 この飲食店ビルは売上を逃している訳だ。
 店舗系のビルを取得したり、テナントとして賃借する場合に見るポイントとして、地下の駐車場にお客さんの車が進入しやすいかどうかを考える必要がでてきているということだ。