コンサルティング業界に特化したエージェントとして、17年間転職支援をしてきた久留須 親(くるす ちかし)氏、はコンサルティングファーム志願者の「駆け込み寺」として、マッキンゼー、BCGなどの経営戦略系ファーム、そしてアクセンチュア、デロイトなどの総合系ファームに、多くの内定者を送り出してきた。著書『「コンサルティングファームに入社したい」と思ったら読む本』では「ファームに入社した人の共通点」「具体的にどんな対策をすれば受かるのか」「入社後活躍する人とは」などについて、史上初めて実際に入社した3000人以上のデータを分析し「ファクトベース」で伝えている。
今回は、本書の内容から一部を抜粋・編集し、ファームの「採用基準」について紹介する。

マッキンゼーやBCGの入社試験、「あの人いいね」と選ばれるのはどんな人?Photo: Adobe Stock

 コンサルタントに求められるいわゆる「地頭のよさ」=インテレクチュアルスキルとは、
・ロジカル・シンキング
・洞察力
・思考スピード
の3要素のことです。

 特に経営戦略領域のコンサルタントには、極めて高いインテレクチュアルスキルが求められ、ロジカルシンキングだけでなく洞察力までしっかりと習得する必要があります。一方、業務・IT領域のコンサルタントは、ロジカルシンキングを習得するだけでも対応できます。

「洞察力」は「ロジカルシンキング」の習得にしっかりと取り組んだ先に、身につけることができるスキルです。コンサル業界では、「インサイト」とも呼ばれます。

 この力が身につくと、独自の考えや切り口・視点を盛り込んで考えられるようになります。

 ロジカルシンキングの分解と構造化、結論を導き出す時に、思考を掘り下げたり拡げたり抽象化したりする過程で、徐々に独自の考えや切り口・視点、自分なりの気づきが出せるようになってきます。

「洞察力」を身につけるためには、その前に「観察力」が必要です。
 ロジカルシンキングで自分に問いを投げかけていると、「自然に自分で考える習慣」が身についてきます。これまでは目にしてもスルーしていたことが、なぜか気になって目に留まり「つい観察してしまう」のです。これが「観察力」です。あなたの周りにも、たまに「目のつけ所が違うな……」とか「よくそこまで見てるな……」と感心させられる人がいると思います。「観察力」がある人は、普通と異なるインプットをしています。

 観察力が養われると、次のような行動をするようになります。

・目に留まったモノを「ついロジカルに考えてしまう」
・考えた内容を「ついロジックツリーで整理してしまう」
・集まったファクトから「つい自分なりの結論を出してしまう」

 こうして、日頃のインプットが変わっていきます。また、一度自分でロジカルに考えた内容は、頭の中にストックされ、インプットと思考が変わったことで、考える上で必要となる「ファクト」が増えていきます。ファクトが増えると自分なりの考えを作りやすくなり、結果として、自分なりの考えや結論に「独自の考えや切り口・視点」が含まれてくるようになるのです。

 これが「洞察力」です。

 このサイクルを繰り返し行うことで、観察力と洞察力はさらに養われ、色々と想像力を働かせて自分なりの考えを作り出せるようになります。

 ここまでくるとロジカルシンキングはかなりのレベルで習得できており、自分が納得できる(腑に落ちた)独自の結論を出せるようになっています。

(※本記事は、『「コンサルティングファームに入社したい」と思ったら読む本』から抜粋・編集したものです)