コンサルティング業界に特化したエージェントとして、17年間転職支援をしてきた久留須 親(くるす ちかし)氏はコンサルティングファーム志願者の「駆け込み寺」として、多くの内定者を送り出してきた。著書『「コンサルティングファームに入社したい」と思ったら読む本』では「ファームに入社した人の共通点」「具体的にどんな対策をすれば受かるのか」「入社後活躍する人とは」などについて、史上初めて実際に入社した3000人以上のデータを分析し「ファクトベース」で伝えている。この連載では、書籍から一部を抜粋・編集して掲載する。
「コンサルタントに求められるコミュニケーションスキル」とは何か。
私は普段求職者に対して、次の3つが大切だと説明しています。これらは面接で見られるのはもちろん、現役のコンサルタントになってからの仕事上のコミュニケーションにおいても、とても大切です。
ロジック:論理的かつ簡潔に結論から話す
コンサルタントに最も求められるのは論理的であることです。コミュニケーションにおいても「ロジック」があることは必須です。コンサルタントの基本的かつ重要な考え方であるロジカルシンキングを意識して、自身の考えを論理的に伝える必要があります。
ロジカルシンキングでは、考えた結論(一番伝えたいこと)がロジックツリーの一番上にきます。まずは「結論」から話し、必要であれば次に結論の下にぶらさがっている「理由・根拠」を付け加えます。これだけでかなりコンサルタントっぽくなります。
慣れないうちはとても難しいですが、常日頃から思考を構造化し、ロジックツリーを意識して考えるようにすれば、徐々に慣れていきます。
クイックレスポンス:可能な限り早く応答する
ロジカルシンキングをベースにしたコミュニケーションに慣れてくると、自分の考えを素早く構造化できるようになります。結果、相手から聞かれたことに対して「結論は何か」をすぐに答えられるようになります。
物怖じしない:伝えるべきことはしっかりと話す
20代・30代でコンサルティングファームに入社すると、クライアントのほとんどは自分よりも年上の人たちばかりです。経営陣やマネジメント層など、役職が遥かに上の人を相手に話すことも多くあります。彼ら、彼女たちは威圧感や、独特の雰囲気をまとっています。さらに、クライアント企業の現場の人たちの中には、一癖も二癖もあるキーパーソンがいたりします。
こうした「猛者たち」に対して「物怖じしてしまい自分の考えを伝えられませんでした……」ということでは、コンサルタントとして仕事にならないですよね。コンサルタントであれば、相手がどのような人であっても(もちろん伝え方やタイミングは配慮しますが)、自分が伝えるべきことを物怖じせず話せないといけません。
3つのポイントを紹介してきましたが、ここに書いたことは、コンサルタントである以前に人としてのマナーができていることが前提です。
本書の「誠実さ(クライアントファースト)」の項目でも触れますが、コンサルティングはあくまで「お客様商売」です。今の時代は特に、「上から目線」や「横柄な態度」は誰からも敬遠されます。
・話すときは目を合わせる
・相手が話していたら聞き役に回る
・間を意識して相手の話を引き出す
などの本当に常識的なことは必須だと考えてください。
コンサルタントの中には「コミュニケーションはあまり得意ではないが、インテレクチュアルスキルでカバーする」というタイプの人ももちろんいます。しかしこのような人はあくまで例外的だと考え、基本はおさえておいたほうがいいです。
(※本記事は、『「コンサルティングファームに入社したい」と思ったら読む本』から抜粋・編集したものです