米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長は6日、規制に関する彼の最高傑作となった886ページにわたる気候変動リスク開示規則を公表した。この規則は、集団訴訟に携わる弁護士への選挙イヤーの贈り物、そして監査人のための金銭的刺激策と呼ぶべきものだ。
進歩派はSECに対し、公開会社に自社の気候関連リスクや二酸化炭素(CO2)排出量について詳細な情報開示を義務付けるよう働き掛けてきた。ゲンスラー委員長はこれに応じた。公表された開示規則は、たとえ左派の一部が求めるほど踏み込んだ内容ではないとしても、法に基づくSECの権限を越えており、公開会社に新たなコスト負担を強いるものだ。
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規則は公開会社に対し、政府が強いる環境重視社会への移行によるリスクなどの気候関連リスクを、どのように評価・管理しているかを報告することを義務付けている。「移行リスク」は広く定義されており、「気候関連の法律・政策の変更や、炭素集約型製品への市場の需要減少」のほか、「資産の評価減や放棄、法的責任や訴えられた場合の訴訟費用のリスク、新技術の導入に関連した競争圧力、評判への影響」などが含まれる。