松本大氏・和田晃一良氏2018年、コインチェックの買収を発表する松本氏(左) Photo:JIJI

米証券取引委員会(SEC)がバイナンスなど仮想通貨取引業者を敵視し、全面対決の様相を帯びている。日本の仮想通貨交換業も無縁ではいられず、コインチェックを傘下に持つマネックスグループの成長戦略も風前のともしびだ。祖業のインターネット証券にも暗雲が立ち込める中、創業者の松本大氏は経営からフェードアウトし始めた。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

米SEC「デジタル通貨必要ない」発言の衝撃
仮想通貨の現状見通せずフェードアウト開始か

「今朝、ジョギングをしていて、公園の池の脇を通ったら、水面がうねっていました。(中略)多くの鯉がバシャバシャと音を立てていたのです。その様子は、悶えているというか、戯れているというか、喧嘩してるというか。恐らく鯉が交尾して、産卵していたのですね。そういう季節なのでしょう」――。

 これは、マネックスグループ取締役会議長兼社長最高経営責任者(CEO)の松本大氏が傘下のマネックス証券の自社メディア「マネクリ」で6月6日に掲載したコラムの一文だ。松本氏は1年ほど前からジョギングを始めたという。

 池の鯉の交尾や産卵に季節を感じるという感性は独特だが、そうした感性をもってしても見通せなかったのが、仮想通貨を巡る現状だ。

 くしくも同じ6月6日、米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長は米CNBCのテレビ番組に出演し、法定通貨などがすでにデジタルで取引されていることを挙げ、「これ以上、デジタル通貨は必要ない」と発言。SECは現在、投資家保護の仕組みが不十分だと判断した仮想通貨の交換事業者を次々に提訴している。

 マネックスGは、2018年に買収した仮想通貨交換業のコインチェックを傘下に擁し、国内最大級の規模を誇るが、仮想通貨の価格下落と取引量の減少で大幅な減益となった。

 松本氏はすでにマネックス証券会長を退任し、6月24日の株主総会でマネックスGの社長CEOを清明祐子Co-CEO兼最高財務責任者(CFO)に譲って会長となる。松本氏は取締役会議長は続ける。

 創業者の松本氏が経営からフェードアウトし始めたのと同時に、仮想通貨市場の拡大を前提とした同社の成長戦略が危うさを増している。それどころか、祖業のインターネット証券業にも暗雲が垂れ込めている。

 これから清明氏が直面する国内外の“いばらの道”がどれほど険しいものとなりそうなのか、見ていこう。