AIによって、より高度なAIのプログラムが作成される、といったことも考えられますが、これは少なくとも今後50年以内には実現しないでしょう。それまではAI関連の開発を行う高度なスキルを持つプログラマーは花形職業となるはずです。

 AI関連プログラマーとともに需要が増すのが、AIに欠かせないビッグデータを集め、必要な情報を取り出し、分析や解析などを行うデータサイエンティストです。チャットGPTやバードなどの生成AIでは、多くの文献やインターネット内のデータを収集して活用しますが、企業で必要とするデータとは異なっています。企業でAIを活用するためには、独自のビッグデータや社外秘のデータが必要となります。これらのデータを収集、分析するエンジニアも必要なのです。

AIにもできない仕事がある

 AIはさまざまな職業を代替しますが、AIにもできない仕事があります。たとえば医療分野。医師の仕事の多くの部分はAIに代替されるでしょうが、患者の状態を正しく把握し、最終的に判断を行うのは医師の仕事です。同じように、患者に寄り添う看護師や心理カウンセラーといった仕事も、AIには代替できません。

 これらの職業では、高度なコミュニケーション能力を必要とします。介護福祉士といった介護関連の職業や、学校の先生や塾講師といった職業も、やはり相手に寄り添いコミュニケーションをとる必要があり、AI時代にも必要とされる職業です。

 AIが人工知能である以上、知的な部分を代替する可能性は高いのですが、逆に肉体的な部分の代替は難しいでしょう。スポーツ選手や芸能人といった職業は、AIに代替されることはないでしょう。

 同じように、引っ越し作業や宅配、運送、建設といった分野も、AI化は進んでも実際の作業は人間にしかできない部分も少なくありません。宅配では、ドローンによる自動化も進められようとしており、この部分はAIが必要不可欠ですが、すべてがAIによって自動化されるまでにはまだまだ時間がかかるでしょう。