本当でしょうか。実はチャットGPTでもバードでも、キーワードや話の方向性などを指定してやれば、現在でもそれなりの創作物を生成してくれます。実際、2024年1月に芥川賞を受賞した『東京都同情塔』は、作者の九段理江氏が「生成AIの文章をそのまま使っているところがある」と打ち明けています。この先、学習データを大幅に増やし、パラメーター数も増やしてやれば、人間が考えることよりもはるかに奇想天外な創作を行う可能性も高いのです。
単純作業から創作まで、生成AIができることは無限にあります。それによってAIに奪われる仕事が今後どんどん増えていくと予想されるのです。
AI時代に生き残れる職業、花形職業とは
もちろん、奪われる仕事とは逆に、AIによって生み出される仕事もあるでしょう。
独立行政法人の労働政策研究所・研修機構では、国内の職業を601種類に分類しています。601種類の職業のうち、約半数の300種類の職業は、AIやロボットに代替され、やがて淘汰される可能性が高いとしていますが、逆に考えると約半数の300種類の職業は、AI時代にも生き残る職業ということもできます。
野村総研の報告書では、この生き残る職業として「芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業」といったものは、AIの代替が難しい傾向があると分析しています。
これらの点を基本として、AI時代に生き残る職業を考えてみると、次のような特徴があります。
まず確実に必要となる職業は、AI開発を担う職業です。AIを動かすためには、データを読み込ませ、推論させ、結果を出力させる必要があります。それらの多くの部分は、AIそのものが自動的に行うでしょう。しかし、推論や出力などの部分で調整したり、それらの動作を行わせるためのソフト、プログラムを作成するAIエンジニアは欠かせない人材であり、今後ますます需要が増していくでしょう。