AIの警告を
私たちはどう捉えるべきか
アメリカでは国家情報会議という組織が、グローバルトレンドというリポートをまとめています。これは4年ごとに作成され、まずアメリカ大統領に報告されたうえで一般公開されます。その執筆者が2010年前後に「近未来の一番大きなリスク要素」と掲げていたのが、「個人へのパワーシフト」でした。
これは当時、インターネットのおかげで個人ができることが広がったと同時に、SNSのような個人メディアの力が強くなる現象を指していました。個人の可能性が広がることは素晴らしいことなのですが、そのことで社会が後退する可能性が2010年の段階で危惧されていたわけです。
この感覚は、当時の政権の中枢にいる人々ほど強くその危惧を実感していたようです。政策を担当する官僚にとっては調整しなければならない声が無数に増えていくうえに、それが年々強くなっていくのです。
そのため全体最適となる政策が先に進まない一方で、強い個人の声に後押しされる政治家が現れて、思わぬ方向に政策がゆがむというのです。
そしてその結果を、生成AIがわたしたちに警告します。要するに生成AIの能力は、今起きていることをまとめてくれているだけ。言い換えると結果を繰り返してくれているだけです。
望まない未来がやってきていることを教えてくれるだけであり、それをどう回避するかについては、生成AIは創造的な解決方法など思い浮かべることすらできません。
では、わたしたち人類はどうしたらいいのでしょうか?
一つ、とんでもない仮説を提言してみましょう。