「わさびを もっと、おもしろく」を基点に新しいわさびの魅力を広く発信わさびとガーリックを混ぜたバーベキューに合う食べるふりかけ「わさガーリッ」や、わさびに生の粒こしょうを加えた肉専用の「わさび胡椒」など、新感覚の商品が続々と登場(上)。サクサク食感が楽しい「わさびオイルふりかけアヒージョタイプ」は和洋中で使える(中)。伊豆天城産のわさびの中でも高級品種・真妻種を使用した「純米大吟醸真妻山葵漬TEN」は山本氏自ら手作りの逸品(下)

 三つ目が、こうした施策の出発点として16年に打ち出した企業コンセプト「わさびを もっと、おもしろく」に基づく、斬新なわさび関連商品の開発。新しい食べ方につながる調味料を主軸に、50種類以上の商品を展開。「わさび屋がつくったわさびマヨネーズ」や「わさびオイルふりかけアヒージョタイプ」はテレビでも紹介され、人気商品に定着した。

海外の展示会に初出展
世界にわさびを発信

 食品だけでなく、オリジナルのTシャツやバッグなどの雑貨も手がけ、地元の町工場とコラボ開発した「本わさび専用おろし板 鋼鮫」は、わさび本来の辛味・風味を引き出す仕様を実現し、プロの料理人からも高い支持を得ている。

 山本氏は伊豆の自然が生んだわさび本来のポテンシャルを引き出しつつ、「『わさびを もっと、おもしろく』を打ち出したことで、会社が向かうべき方向性が定まったことが新たなブランディングにつながったと感じています」と言う。今後はさらなる成長を目指し、原価管理の見直しなど財務基盤の強化を進め、ユーチューブチャンネルもわさび屋として発信するべきコンテンツを固め、24年春からリニューアル版を展開していく予定だ。

 23年末には海外の展示会に初参加し、韓国でわさび栽培・加工を手がける会社と技術提携した。世界を舞台にいかにわさび旋風を起こしていくのか。同社ならではのユニークな展開を期待したい。

(「しんきん経営情報」2024年4月号掲載)

●株式会社 山本食品
事業内容:わさびの加工、製造、販売、オリジナル雑貨プロデュース、販売 
従業員数:50人
売上高:4億5000万円(2023年度)
所在地:静岡県三島市御園103‐2
電話:055‐982‐0892
URL:yamamotofoods.co.jp