伸びやかなクロスオーバー(全長×全幅×全高4930×1840×1540mm/ホイールベース2850mm)に対し、スポーツ(同4720×1880×1565mm/2770mm)は走りを意識した造形である。クロスオーバー比で全長とホイールベースを詰めるとともにオーバーハングを短くし、大径ホイールを組み合わせたことで、タイヤが四隅で踏ん張った凝縮感を演出した。
全高はクロスオーバーより少し高くなっているが、SUVとしては抑えられているほうである。ライバルと目されるポルシェ・マカンやメルセデスGLCクーペよりも明確に低い。グラマラスなボディパネルは街の建物や木々がクルマにどのように映り込むかを意識し、その変化の美しさを意識しながらデザインしたもの。最大の難所だったというリアフェンダーは、ボリューム感満点。見れば見るほど1枚の鉄板でよくこんな形状のパネルを量産できるものだと感心した。
インテリアは、かつてないアシンメトリーなカラーを採用。助手席側と運転席側で配色を変えることで、適度な包まれ感と、運転するワクワクを感じてもらえるようにしたという。
ユーティリティ面ではハッチバックである点が特徴。スタイリングを重視し荷室容量を多少は割り切ったというものの、不便に感じることのない広さが確保されている。
クーペ的なキャビン構成ながら乗降性に優れ、運転しやすいパッケージングにまとめたのも特筆ポイント。外見から想像するよりも居住性はいい。適度に高めのアイポイントがもたらす運転席からの視界は心地よく、あまり期待していなかった後席も、ヒップポイントの高さや着座姿勢の工夫により落ち着ける。ヘッドクリアランスはセダンよりもむしろ広い。ニースペースやヒール段差も十分に確保されており、後席に大切なゲストを招く際にも躊躇しなくていい。
2.5Lハイブリッドは燃費で輸入車を圧倒
徹底した足回りのこだわりが素晴らしい
パワートレーンは、熟成のハイブリッドがメイン。スポーツには近い将来PHEVを追加することが明らかにされているが、まず発売された2.5Lのハイブリッドは経済性に優れる。1.8トンを超える車両重量のSUVながら、21.3km/LのWLTCモード燃費を達成した点は素晴らしい。
ハイブリッドはトヨタにとってはごく当たり前のシステムながら、欧州勢と比較するとアドバンテージが際立つ。輸入車で、これほど燃費がいいクルマはない。高回転域まで回したときのエンジン音に色気がなく、物足りなさを感じる場面はあるが、応答遅れは小さくパフォーマンス的にも満足できる。
開発陣は、足回りについて「ただ硬いだけがスポーツではない」という思いを貫いたと語る。パッケージング/部品/チューニングという、大別して3つの要素のすべてで、新たなスポーツ像を追求したという。実際にドライブしても、硬さを感じない仕上がりになっていた。