“革新と挑戦”16代目クラウンの
イメージリーダー的な立場

 それぞれの要素を見ていこう。まずパッケージング面では、ショートホイールベース化するとともにオーバーハングを短くする手法で、物理原則に則って俊敏な回頭性を得ることを追求。部品については、クロスオーバーと同様に、後輪を操舵するDRSと左右の後輪にベクタリング機構を備えた4WDシステムを搭載した。そのうえで入念なチューニングを施してクロスオーバーとの個性の違いを明確にし、一般道から高速まで、どの速度域でも俊敏な動きを実現できるよう味付けしたという。

 乗り心地面はサスペンションの摩擦低減にこだわり、路面からの入力をいなすように作り込んだ。スポーツの足は引き締まっていながらもよく動く。スポーティさとしなやかさを巧みにバランスさせた印象である。

 先読みして運転操作をサポートするというPDA(プロアクティブドライビングアシスト)は、先発の車種では少々おせっかいな感じがあったが、それがだいぶ薄れていた点も好印象。しかもスポーツモードでは、より俊敏な回頭性を楽しむことができる。万人にとって有益なデバイスに違いない。

 スポーツは“革新と挑戦”をキーワードとする16代目クラウンの中でも、イメージリーダー的な立場を占める。世界を見わたしても、これほど存在感があり、走りも楽しめて、しかも燃費や実用性にも優れる1台は貴重である。スポーツは、多くの魅力を放つパーソナルカーの代表といっていい。

(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/原田 淳)

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