株式会社トルク 代表取締役の本田一幸氏

「ウェブアクセシビリティ」という言葉を耳にする機会が増えてきた。2024年4月施行の「改正障害者差別解消法」の影響もあり、自社サイトのウェブアクセシビリティを見直す企業も多いだろう。これは採用サイトについても例外ではない。そこで今回は、ウェブアクセシビリティ対応のサイト制作を多数手掛けるWeb制作会社・デザインファームである株式会社トルク(https://trq.co.jp/)代表取締役の本田一幸氏と、CTOの堀江哲郎氏に、いま、採用サイトでウェブアクセシビリティを向上させる意義を聞いた。(ダイヤモンド社 人材開発編集部、撮影/大崎えりや)

――いまは、就職や転職を希望する人のほとんどが、ネットで就職・求人ポータルサイトを見てエントリーし、そこから企業の採用サイトをチェックする、という流れで情報を集めています。企業の採用サイトの重要性は非常に高くなっていますね。

本田 そう思います。私たちも、多くの企業の採用サイトを作らせていただいていて、「サイトをリニューアルしたい」というご相談もよくいただきます。

――具体的に、どんなサイトを作りたいという要望が多いのでしょうか?

本田 リニューアルにあたって、どのような採用サイトにしたいかの希望を伺うと「就職希望者に、うちがどういう会社なのかをもっと知ってもらいたい」とか「いま、会社が掲げている中期経営計画に合わせたメッセージを打ち出したい」というような話がよく出てきます。

 もちろん、そういった会社からのメッセージを前面に出すというのは必要なことだと思います。ただ、就職を希望している学生さんなどにとって、それが本当にいちばん必要な情報なのかといったら、そうとも限りません。欲しい情報の一つではあるかもしれませんが、就職希望者は自分がこの会社で本当に働きたいのか、やりたいことがやれる環境なのか、といったことを知りたくて、採用サイトを見に来るはず。それを思うと、就職希望者が求めるものと、企業が発信したいメッセージの間には、少しギャップがあるのかな、という印象です。

――企業側は、せっかくだから自分たちのことをよくわかってほしいし、わかったうえで働きたいと思ってくれるような人を採用したい。一方で、就職希望者は、給与だとか福利厚生といった情報をまず知りたいと思っているかもしれませんね。

本田 双方のニーズをうまく両立させて、企業側が打ち出さなければならないメッセージを伝えつつ、就職希望者が欲しい情報を迷わず取り出せるサイトが理想形です。私たちはサイト作りを通して、そのギャップを埋めていきたいと常に考えています。