
自動車排ガス規制などの根拠を撤回
気候変動対策の「本丸」に切り込む
7月29日にトランプ政権は、温室効果ガスの排出規制に関し、連邦政府が自動車などに対する規制の根拠としてきた判断を撤回する方針を明らかにした。
環境保護局(EPA)のゼルディン長官が、この日、インディアナ州のトラック販売店を訪れた際に、この方針を表明した。
撤回が提案されたのは、オバマ政権時代の2009年に示された、二酸化炭素などの温室効果ガスが、「人々の健康や福祉を危険にさらす」という政府判断だ。「危険性認定」と呼ばれるこの判断は、自動車などに排ガス基準などの規制をかける前提になってきた。
これに先立ち、トランプ政権は6月11日、バイデン前政権が打ち出していた発電所に対する温室効果ガスの排出規制についても、根拠としてきた大気浄化法の適用外であるとして、撤回する方針を明らかにしている。いずれの決定も、気候変動対策を支えてきた法的な根拠に切り込む規制緩和の剛速球だ。
政権発足後、相互関税などの高率関税政策や大規模減税などの大統領選で掲げた公約が進められてきたなかで、規制緩和については、取り締まりの縮減や手続きの省略などにとどまり、出遅れ感があった。
今後、今回の政府判断撤回を機に、ガソリン車の排ガス規制などの撤廃が進み、“トランプ規制緩和”が加速する可能性がある。そうなれば気候変動への国際的な取り組みからの米国の離脱は決定的になる恐れがある。