母親の得意料理でもある、煮豆を妻が作ってくれた
「おふくろのは、もうちょっと味が濃いかな」

 たとえ「お義母さんに教わって作ってみたんだけど、どうかな?」と尋ねられたとしても、ひと言目にこう答えるのは、あまりにもウカツです。

 まずは「おいしい!」「うまく煮えてるね」などと、感激と称賛の言葉を捧げましょう。妻から「ちょっと味が薄かったかも」といった“反省の弁”が出てきたとしても、油断は禁物。「そうだね。もうちょっと濃い味でもよかったかもね」などと、客観的な論評をする必要はありません。

 母親の得意料理である煮豆に挑戦してくれた妻の気持ちは、拝みたいぐらい尊すぎます。母親と仲良くしたいと思ってくれているのも、ありがたい限り。せいいっぱい応えるのが夫としての義務であり、人としての礼儀です。

 そう考えたら、「たしかに実家よりは味が薄めだけど、俺はこっちのほうが好きかな」ぐらいのことは言えるはず。もっと濃いめの味付けがいいと思ったとしても、本当にそれを主張する必要があるかどうか、夫婦関係に及ぼす影響を総合的に考えた上で冷静に判断しましょう。

妻を感動させる行動
実家に帰ったときには、妻が母親の指導のおかげで煮豆を無事に完成させたことを報告し、「またいろいろ教えてあげてよ」と頼む。

酒を飲むと人におごる癖があり、それを妻に怒られた
「男には見栄ってもんがあるんだよ」

 自分自身も、これまで先輩や上司におごられてきたことや、いろんな状況でおごられたことを考えると、誰にもおごらないまま生きていくわけにはいきません。いや、不可能ではありませんが、おごることを頑なに避けて生きていくと、寂しくて味気ない人生になるでしょう。

 妻もそこは理解しているはずですが、限度を超えた気前良さを発揮しているとなると話が別。夫の金銭感覚がルーズだと、妻としてはたまったもんじゃありません。

 男に限らず、「見栄ってもんがある」のは確かです。しかし、実は自制心のなさを無理に言い訳しているに過ぎないので、妻の心にはまったく響きません。しかも「男には」と、時代錯誤で根拠がない特権意識を前面に押し出されたら、さらに怒りに拍車がかかるでしょう。

 身の丈に合わない見栄を張ってしまうのは、コンプレックスなりストレスなり、何か理由があるはず。無駄遣いをするばかりか、自分の問題点から目をそらして強がっているようでは、たぶん遠からず妻に愛想を尽かされます。

夫が株を上げるひと言
「間違っていたよ。俺がいちばん見栄を張らなきゃいけないのは、キミに向けてだよね」と反省の気持ちを伝える。ただし、行動が伴わないと念入りに信用をなくす。