米大リーグのロサンゼルス・ドジャースは、「大谷翔平選手の通訳を務めてきた水原一平氏を解雇した」と明らかにした。米国メディアの報道をウォッチする中で印象的だったことについて、ロサンゼルス在住ライターがリポートする。日本ではあまり知られていないことだが、米国では伝説のスター選手もスポーツ賭博にハマった過去があるという。(ロサンゼルス在住ライター 藤本庸子)
大谷選手の名物通訳が解雇
情報が錯綜し米国も大混乱に
米国では、連日のように米大リーグ(MLB)ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手の活躍を報じており、「Shohei fever」がアツい。しかし、現地時間の3月20日午後からはその様子が大きく変わった。午後3時40分(日本時間21日午前7時40分)に、筆者が米国ABCテレビの速報メールを受け取ると、スポーツ専門チャンネルESPN経由のスクープで「ドジャース、大谷翔平選手の通訳を解雇 “巨額窃盗” 疑惑で」という見出しが躍っていた。
記事の内容は、「ドジャースは、大谷翔平選手の通訳を務めていた水原一平氏を解雇した。水原氏が大谷選手の資金を “大量窃盗”したと大谷選手の弁護団が告発したためである」とあった。驚くことに、このニュースを球団が知ったのは、ESPNの記者から取材を申し込まれた時だという。
当初、大谷選手の広報担当者は、水原氏のスポーツ賭博による借金を、大谷選手が肩代わりするために資金を振り込んだとESPNに語っていた。その広報担当者は、現地時間19日(火曜日)の夜、水原氏をESPNに紹介し、90分間のインタビューを行ったという。しかし、ESPNが翌20日(水曜日)に記事を掲載する準備をしている最中に、広報担当者は水原氏の説明を否定し、「大谷選手の弁護士が声明を出すだろう」と述べたそうだ。
その後、大谷選手の代理人弁護士は「大谷選手が大規模な窃盗の被害にあっていることが判明し、捜査当局に告発した」と明かした。情報が錯綜する中、地元の大手新聞『ロサンゼルス・タイムス』はもちろん、全国ネットのテレビ局をはじめ多くのメディアが報じていて、米国中が衝撃を受けている。
米国メディアの報道をウォッチする中で筆者が印象的だったのは、水原氏に対する表現だ。水原氏は大谷選手の通訳だけでなく、球場と自宅の送迎やキャッチボールの相手まで務めるなど、大谷選手からの信頼が厚く、公私を共に過ごす時間が長いと報じられてきた。今回の事件でも、水原氏のことを「大谷選手の友人であり通訳」というふうに、「大谷選手の友人」ということを強調するニュースが目立っている。