「コロナ後も無くしちゃいけないものは『医療従事者の方々へのリスペクト』」を超える、思わず拍手したくなる名言は…。
そう語るのは、これまでX(旧Twitter)上で8年間365日、毎日欠かさず大喜利のお題を出題し、累計で200万以上の回答を見てきた「坊主」氏だ。大喜利のように「斜め上の発想を出す」というスキルは、「面接での一言」「LINEでのうまい返し」「意中の相手を口説く言葉」「新企画のアイデア」などに使える“万能スキル”でもある。そんな大喜利について、世界で初めて思考法をまとめた話題の著書『大喜利の考え方』では、「どうすれば面白い発想が出てくるのか」「どんな角度で物事を見ればいいのか」などを超わかりやすく伝えてくれている。まさに「面白い人の頭の中」が丸わかり。そこで、この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、大喜利的な思考法を詳しく解説する。(構成/種岡 健)

「コロナ後も無くしちゃいけないものは『医療従事者の方々へのリスペクト』」を超える、思わず拍手したくなる名言・ベスト1Photo: Adobe Stock

大喜利の回答パターン

 大喜利の回答には大きく分けて2つのパターンがあります。

・ボケて面白いことを言う
・ぶっちゃけて共感されることを言う

 です。芸人さんの大会では、「ボケ」が求められています。
「IPPONグランプリ」なんかは、「ボケ:共感」は、「9:1」くらいの割合です

 一方で、「笑点」のように高齢者向けの番組では、「共感すること」がウケたりします。
 時事ネタや風刺ネタで拍手が起こったりしていますよね。
「ボケ:共感」は、「5:5」くらいの割合でしょうか。
 サラリーマン川柳のように、共感することを主体にした場もあります。
 そうすると、「ボケ:共感」は、「1:9」くらいになります。

 次のように「よく言った!」という回答には「共感」が得られます。

〈お題〉
「コロナ禍が終わってもなくさなくていいもの」選手権

〈回答〉
 医療従事者の方々へのリスペクトの気持ち

 誰も傷つけない時代ですからね。
 この回答には、つい拍手したり、いいねしたくなるはずです。

 私の大喜利でも、大きな流れがあります。
 開始した最初の1~2年は、フォロワーに若い人が多かったせいか、「ボケ」が優勢でした。
 尖った回答も多かったし、インパクトのある一言もたくさん生まれました。
 そこから徐々に私のフォロワーが増え、幅広い年代の人が見るようになり、「共感」がウケるようになっていきました。

 センスのある「ボケのネタ」から、広く伝わる「あるあるネタ」に移行していったのです。

 それにより、コアなお笑いファンは離れていきましたが、私としては、より大衆的になったのでいいのではないかと思っています。

 ここで、「共感」について例を出しておきましょう。
 たとえば、日本で「透明なコーラ(コカ・コーラ クリア)」という新商品が発売されたときに、次のようなお題を出しました。

〈お題〉
「最近飲み物を透明にするのが流行っていますが、 
 次に透明になるのはなんでしょう」選手権

 このときのベストアンサーは、

〈最優秀賞〉
 発展途上国の水

 でした。思わず、「おお~」と感心してしまう回答です
 お笑い番組では、感心されるような答えを出すと、芸人さんは恥ずかしくなってしまうらしいのですが、一般人が考える回答なら感心させるのもアリです。
 ちなみにその他の回答は、次のようなものでした。

「日本の政治」「ブラック企業」
「ブラジャー」「宮迫博之」……

 たしかに、液体や飲み物とは言っていません。そこは広げてもいい。
 宮迫さんは、当時、「オフホワイト発言」が話題でした。

 ただ、最優秀賞の回答は、飲み物という部分を残して「水」として返しているのがいい。
 ズラすのもいいですが、ズラしすぎないものがウケるという感覚が、このお題と回答から学べると思います。

 さて、この本の読者は、芸人さんではないと思います。
 なので、「共感すること」「感心すること」などをメインにしつつ、「面白いこと」も考えられたら合格点ではないでしょうか
「ボケ:共感」を「3:7」くらいの割合で考えていきましょう。

(本稿は、『大喜利の考え方』から一部抜粋した内容です。)

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日本一の大喜利アカウント
X(旧Twitter)は、2024年1月現在で190万フォロワーを突破。元々、「2ちゃんねる」が大好きで、「匿名で面白い回答をする人がたくさんいる!」ということに衝撃を受け、Xでお題を出し続ける。これまで8年間365日、毎日欠かさず大喜利のお題を出題。累計で2万以上のお題を出し、数百万以上の回答を見てきた。昼は僧侶として働く、正真正銘の「お坊さん」でもある。また、都内に「虚無僧バー」「スジャータ」というBARを2軒経営しており、誰でも1日店長ができる店として、さまざまな有名人やインフルエンサーなどに店長を任せている。BARの名前の由来も仏教からとられている。『大喜利の考え方』(ダイヤモンド社)が初の著書。