「ニートにしかわからないことは?」という質問で出てきた秀逸すぎる名言は…
そう語るのは、これまでX(旧Twitter)上で8年間365日、毎日欠かさず大喜利のお題を出題し、累計で200万以上の回答を見てきた「坊主」氏だ。大喜利について、世界で初めて思考法をまとめた話題の著書『大喜利の考え方』では、「どうすれば面白い発想が出てくるのか」「どんな角度で物事を見ればいいのか」などを超わかりやすく伝えてくれている。まさに「面白い人の頭の中」が丸わかり。そこで、この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、大喜利的な思考法を詳しく解説する。(構成/種岡 健)
あなたのダメさは面白い
笑いの中でも「自虐」は人気です。
じつを言うと私、坊主は、そんな自虐の返しが大好きです。
この8年間で特に印象的だった回答は、次のものです。
〈お題〉
「ニートにしかわからないことは?」選手権
〈最優秀賞〉
ニートは毎日夏休みと言われるが、
実際には宿題を放置したまま迎える
8月31日みたいな気分が毎日続く
一瞬、笑ってしまう回答ではあるのですが、よく考えてみると、深い共感が読みとれます。
「ニートといったら、焦りがある」
「ニートといったら、毎日が夏休みと言われる」
と、「ニート」と「非ニート」の間にあるギャップを埋めるような回答になっていますよね。
こうやって、当事者ではない人の誤解をうまく解消するような回答は、共感を生みやすくなります。
「なるほど、実際はそうなのか!」というリアルさがあるからです。
「ニートは毎日が休みでいいよな~」という冷たい意見がある世の中で、誰もが焦りを感じる「夏休み最終日」という例え方は秀逸です。
仮にあなたが非ニートであっても、本当にニートの人の気持ちになる感じがしないでしょうか。
「ニート」という自虐フレーズから、これくらいリアルで切実な気持ちを言語化できるのです。
「自虐モード」で体験を語るというのは、これほどの威力があるんですよね。
大喜利は「弱者」に寄り添う
ちなみに、当事者にしか語ることができないリアルさ。
それは、マイノリティを描くような小説や文学にも通じるものだと思います。
大喜利という場も、文学と同じように、「弱者に寄り添うもの」でありたいなと私は思っています。
「社会不適合者」への優しい眼差しは持ち続けて、私自身、お題を出し続けていきます。
ということで、「自虐モード」を基に、ネタになる素材を出しましょう。
たとえば、学食で食べたかったけど、1人でいるところを見られたくないから、トイレで食べる人を「便所めし」と呼びました。
そのように、「〇〇したいけど、△△をしてしまった」という、体験ベースになっていると、いい自虐が出てきます。
「腹が立った」「許せない」などと、感情ベースになってしまうと、卑屈っぽく聞こえてしまいます。そこは注意しておきましょう。
(本稿は、『大喜利の考え方』から一部抜粋した内容です。)
日本一の大喜利アカウント
X(旧Twitter)は、2024年1月現在で190万フォロワーを突破。元々、「2ちゃんねる」が大好きで、「匿名で面白い回答をする人がたくさんいる!」ということに衝撃を受け、Xでお題を出し続ける。これまで8年間365日、毎日欠かさず大喜利のお題を出題。累計で2万以上のお題を出し、数百万以上の回答を見てきた。昼は僧侶として働く、正真正銘の「お坊さん」でもある。また、都内に「虚無僧バー」「スジャータ」というBARを2軒経営しており、誰でも1日店長ができる店として、さまざまな有名人やインフルエンサーなどに店長を任せている。BARの名前の由来も仏教からとられている。『大喜利の考え方』(ダイヤモンド社)が初の著書。