ハーバードビジネススクールのラモン・カザダスス=マサネル教授は、2024年1月、同校の学生たちと日本を訪れ、「フィールドスタディ」を行った。教授が日本で学生たちに学んでほしいこととは何か。また、実際に学生たちは、実習を通じて何を感じたのだろうか。(聞き手/作家・コンサルタント 佐藤智恵)
ハーバードの学生たちに
日本で学んでほしいこと
佐藤智恵(以下、佐藤) 2024年度の日本での「フィールドスタディ」(現地実習)は、1月8日から17日まで10日間の日程で実施されました。日本での研修を通じて、ハーバードビジネススクールの47人の学生にどんなことを学んでほしいと思いましたか。
ラモン・カザダスス=マサネル(以下、カザダスス=マサネル) 今回の現地実習は、ハーバードビジネススクールの選択科目「ライジングサン・ベンチャーズ:日本の起業家精神の探求」(IFC: Japan; Rising Sun Ventures: Exploring Entrepreneurship in Japan)の一環として行われたものです。
その主な目的は、日本のスタートアップ企業や起業家たちから、戦略、イノベーション、リーダーシップを学ぶこと。世界各国には、その国に根ざしたさまざまなビジネスモデルやリーダーシップスタイルがあることを学んでほしいと思いました。
そのため、研修スケジュールには日本の起業家・投資家との交流会や、日本のスタートアップ企業を題材としたコンサルティングプロジェクトなどをふんだんに盛り込みました。いずれも学生たちに日本企業が直面している課題や、今後のビジネスチャンスについて深く理解してもらうためです。
さらに、この実習にはもう一つ重要な目的があります。