残念な口グセ・ワースト1

 ダメなリーダーを生み出す原因の一つは、「モチベーション」という概念の登場です

「モチベーション」という言葉が誕生したために、部下たちのやる気を出させてあげたり、頑張る理由を与えたり、つねにそのことを考えざるを得なくなりました。

 そして、結果を出せなくても、「モチベーションが上がらないんですよね~」という言い訳を許さざるを得なくもなったのです

 まずは、「モチベーション」という言葉に逃げないようにしましょう。

 優秀なリーダーの役割は、部下たちのモチベーションを上げることではありません。やるべきことをやり、「成長させること」です。

 人間の意識構造を知れば、どんな行動によって、人が成長していくかを知ることができます。

「感情」は最後に

 さて、ここまで「決起集会」を否定し、「モチベーション」を禁句にしてきました。

 じゃあ、人間の感情はすべて無視すべきなのでしょうか? そうではありません。

 うまくいったときは、盛大に喜べばいいのです
 つまり、大きな結果が出た後は、飲み会でも何でも開いて、お祝いをすればいい。

 結果が悪くて悔しいメンバーは、「次はなんとかやってやろう」と思うでしょう。
 結果が出て嬉しいメンバーは、「自分たちがやってきたことが正しかったんだ」と思い、次の行動につながります。

 感情は、最後にとっておきましょう。スタートからゴールまでは、とにかく粛々と仕事に取り組むべきです。
 そこによけいな感情を持ち込まないようにする。

 その役目が、優秀なリーダーには求められます。
 結果を出すために試行錯誤し、失敗してもやり直し、最後に大きな結果を出すからこそ、チームは感動を得られるのです

(本稿は、『リーダーの仮面』より一部を抜粋・編集したものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2024年4月現在、約4000社の導入実績がある。主な著書に『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』のシリーズ(いずれもダイヤモンド社)がある。