4月1日は、1年の中で「はじめまして」が最も多く聞こえる日です。新入社員はもちろん、異動者や転職者なども、この日から新たな職場に配属されるケースが多いと思います。新しい職場はどんなところだろう…と期待に胸を膨らませている人もいらっしゃることでしょう。
ただ、人間関係は第一印象がとても大切です。この日に伝え方を間違えると、「この人、付き合いにくそうだな」「少し面倒くさそうだな」という印象を与えかねません。そして、その第一印象を覆すのは、予想以上に時間がかかるものです。
そこでシリーズ累計159万部突破のベストセラー『伝え方が9割』の著者、佐々木圭一さんが、新たな第一歩をスムーズに踏み出すための「伝え方」を教えてくれました。

4月1日は失敗するな…新生活を台無しにする残念な「伝え方」Photo: Adobe Stock

■Case1「プリンターが詰まっちゃったんですが、どうすればいいですか?」

ところ変われば、PCや精密機器も変わります。新しいプリンターの扱いがわからず、戸惑ってしまうケースもあるでしょう。ましてや急に紙が詰まってしまったら、どうしたらいいのかわからず困ってしまいますよね。

しかし、近くの先輩を捕まえて、「どうすればいいですか?」と思っていることをそのまま伝えてしまうと、「面倒くさいな…」と思われてしまうかもしれません。
きっと、相手はこれまで何十回と、新入りに同じセリフを言われ続けてきたことと思います。あなたに悪気がないのは十分承知しているし、わからないことは周りに聞くしかないとわかってはいても、「今忙しいのに、またか…」とうんざりしてしまうのも仕方のないことです。

ではどう伝えればいいのか。ぜひこのように伝えてみてください。

◎「今後私ができるようになりたいので、プリンターの直し方を教えていただけますか?」

これは、「相手の好きなこと」という伝え方の技術を使った伝え方です。相手の好きなことをもとに伝えると、相手に良い印象を与え、気持ちよく動いてもらえるようになります。

「私ができるようになりたい」というのは、相手の好きなことです。今まで自分が一手に引き受けて来たけれど、今後はこの後輩がやってくれる機会が増えそうだな、いい人が来てくれたな…と思ってもらいやすくなります。気持ちよく丁寧に、紙詰まりの直し方を教えてくれるでしょう。

実は、ここで挙げた「いい伝え方」も「イマイチな伝え方」も、どちらも「プリンターが詰まったので対処法を教えてほしい」と言っているのですが、伝え方の技術を使うだけで「面倒だな」という印象が「いい人が来てくれてよかった」にガラリと変えることができます。その後も、さまざまなことを前向きに教えてくれるようになり、あなた自身も早期に仕事をキャッチアップできるようになるでしょう。

「デキそうな新入りがやってきた」と思ってもらうためにも、早く周囲になじんで活躍するためにも、このように入社・異動初日から活用できる「上手な伝え方」をいくつかお伝えしていきたいと思います。

■Case2「何をしたらいいのか、よくわからないんですけど…」

新しい会社、新しい部署に配属された当初は、誰でも何をすればいいのかわからず、戸惑いを覚えるものです。周りはみんな忙しそうにしているのに、自分だけ置いてけぼりで手持ち無沙汰…そんなとき、思わず「何をしたらいいのか、わからないんですけど」と言ってしまう人もいるでしょう。

しかし、前述のプリンター同様、このように声を掛けられると「今忙しいのに、自分の時間を割いて教えないといけないのか」と面倒くささを覚える人もいると思います。もちろん教えてはくれるでしょうが、しぶしぶ、いやいやの対応になり、雑な教え方をされてしまうかもしれません。

そんなときは、このように伝えてみてください。

◎「いま頼れるのは、鈴木さんだけなんです。このプロジェクトの手順について 教えていただけませんか?」

これは「あなた限定」という技術を使った伝え方です。人は、「あなただけ」と特別扱いされると嬉しくなり、多少面倒くさいお願いごとでも前向きに受け入れようとします。このように「鈴木さんだけ」と特別扱いすることで、「自分にしかできないのであれば、やってあげようかな」と、気持ちよく丁寧に教えてくれるようになるでしょう。