■Case3「チーム内の連絡、LINEじゃダメですか?」
最近ではプライベートだけでなく、仕事でLINEを使うのも当たり前になっています。チームメンバーでLINEグループを作ることで、進捗連絡や報告などがしやすくなったり、情報共有が迅速になったりするなど、メリットは多いようです。
しかし、新しく転職した会社や異動先の部署ではLINEを活用していないという場合、つい「LINEじゃだめですか?」と言いたくもなりますが、思いをストレートにぶつけてしまっては「新入りがいきなり何を言っているの?」と反発を招く可能性があります。いくら「便利だから」と伝えたところで、今までのやり方を否定されたと感じ、あなたに対してネガティブな印象を持ってしまう人もいるかもしれません。
では、何と言えばいいのか。このような伝え方をしてみてください。
◎「新入社員も意見を言いやすくなるので、チーム内の連絡はLINEにしてみませんか?」
これは、伝え方の技術「相手の好きなこと」を使っています。多くの上司やリーダーは、新しいメンバーにも積極的に意見やアイディアを出してもらいたいと考えていますが、新入社員からすれば、仕事内容やチームの雰囲気もつかめていない段階ではなかなか意見を出しづらいもの。いくら「何でもいいから言ってよ」と促したところで、意見を引き出すのは難しいでしょう。
そんな中、「LINEであれば新入社員でも意見が言いやすくなる」というのは、上司にとって嬉しい情報です。新人を始め、皆が意見を言いやすくなるんだったらLINEの活用も検討してみようかな…と思えるでしょう。
もちろん、この伝え方を実行したからと言って、100%思い通りになるわけではありませんが、「いい提案をしてくれた」と好感を持ち、ポジティブに評価してもらえるでしょう。
■Case4「その作業、前の会社ではSlackを使っていたのでそうしませんか?」
Slackを代表とするビジネスツールは、近年どんどん進化し、さまざまな企業で普及拡大しています。チームやグループでの情報共有や業務連絡などがスムーズになり、ちょっとしたやりとりもまるで対面で話しているようにタイムリーにできるのが魅力です。
だからこそ、これまでSlackを使いこなしてきた人がSlack未導入の会社や部署に移ったら、不便に感じるのは当たり前。ただちに上司に「前の会社では使っていたので導入しませんか?」と進言したくなることでしょう。
ただ、これも前述のLINEの例と同様、思ったままに伝えてしまうと、相手は今までのやり方を全否定されたと感じてしまうかもしれません。「これまでうまくやって来たのに、なぜ新入りに意見されなければならないんだ?」とネガティブな印象を持つ人も、少なくないと思われます。チームのため、みんなためを思っての進言なのに、伝え方のせいで真意が伝わらない…というのは実はよくあることなのです。
この場合は、ぜひこのように伝えてみてください。
◎「Slackを使えば、皆さんの作業がずっとラクになるので、使ってみませんか?」
これも、伝え方の技術「相手の好きなこと」を使っています。誰もが、少しでも仕事を楽に、効率的に進めたいと思っています。このような伝え方をすれば、「否定ではなく、みんなのためを思って提案してくれているんだ」と思いが正しく伝わりますし、「Slackのことはあまり知らないけれど、調べて検討してみようかな」と思ってもらえる確率も上がります。場合によっては、「Slackについて詳しく教えてよ」と質問されたり「あなた主導で導入を進めてくれない?」とお願いされたりするかもしれません。
伝え方の技術を使うだけで、相手にいい印象を与えるだけでなく、導入の可能性をも高めることができるので、ぜひ覚えておいてほしいですね。