■Case5「(オンライン会議で)もっと大きな声で話してください」
近年はリモートワークが当たり前になり、オンライン会議が主流になってきました。ただ、参加者がオンライン会議に慣れていないと、うまくコミュニケーションが図れないケースもあるようです。
特に「発言の声が小さい」人は困りものです。オンラインでは対面に比べるとどうしても声が聞き取りづらく、ある程度大きな声でハキハキ話す必要がありますが、小さな声でボソボソ話す人も中にはいます。
以前の職場ではみんなオンライン会議に慣れていて、うまくコミュニケーションも取れていたのに…とイラっとする気持ちはわかりますが、「もっと大きな声で」とズバリ指摘してしまうのは良策とは言えません。相手によっては「自分を否定された」と感じ、壁を作られてしまうかもしれません。皆の前で指摘されたことで萎縮してしまい、仕事上必要なコミュニケーションが取りづらくなってしまう可能性もあります。
大切なのは相手の頭の中を想像し、何と言えばカドを立てずに正しく思いが伝わるのかを考えること。この場合にお勧めしたいのは、次のような伝え方です。
◎「聞き間違えて高橋さんにご迷惑をおかけしたくないので、もう少しマイクを近づけて話していただけないでしょうか?」
これは「嫌いなこと回避」という技術を使った伝え方です。相手からすれば、自分の発言を聞き間違えられるのは嫌なこと。声が小さいせいで発言が誤認された結果、後で訂正するのも面倒です。「もっと大きな声で!」と頭ごなしに言われると反発したくなりますが、伝え方の技術を使って話せば、相手の方から「マイクを近づけ、もっと大きな声でわかりやすく話そう」と思ってもらうことができます。
一般的に「伝え方にはセンスが必要」と思われがちですが、伝え方にはいくつかの技術があり、それを使えば誰でも上手に物事が伝えられるようになります。前述のようなLINEやSlackの例のように、本来であればノーだった答えを、イエスに変えることも可能になります。
今回特にフィーチャーした技術は、「相手の好きなこと」。相手の好きなことをもとに伝えると、非常に印象が良くなるばかりか、相手にイエスと言ってもらえる確率もグンと上げることができます。初対面の人や、まだ関係性が浅い人と関わる機会が多い4月にこそ、ぜひ活用してほしいですね。
コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師
新入社員時代、もともと伝えることが得意でなかったにもかかわらず、コピーライターとして配属され苦しむ。連日、書いても書いても全てボツ。当時つけられたあだ名は「最もエコでないコピーライター」。ストレスにより1日3個プリンを食べる日々をすごし、激太りする。それでもプリンをやめられなかったのは、世の中で唯一、じぶんに甘かったのはプリンだったから。あるとき、伝え方には技術があることを発見。そこから伝え方だけでなく、人生ががらりと変わる。本書はその体験と、発見した技術を赤裸裸に綴ったもの。本業の広告制作では、カンヌ国際広告祭でゴールド賞を含む3年連続受賞、など国内外55のアワードに入選入賞。企業講演、学校のボランティア講演、あわせて年間70回以上。郷ひろみ・Chemistryなどの作詞家として、アルバム・オリコン1位を2度獲得。「世界一受けたい授業」「助けて!きわめびと」などテレビ出演多数。株式会社ウゴカス代表取締役。伝えベタだった自分を変えた「伝え方の技術」をシェアすることで、「日本人のコミュニケーション能力のベースアップ」を志す。
佐々木圭一公式サイト:www.ugokasu.co.jp
Twitter:@keiichisasaki