厚労省の「飲酒ガイドライン」登場、アルコール度数×摂取量で適切に管理をPhoto:PIXTA

 2月19日、厚生労働省から国内初の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(飲酒GL)」が公表された。

 20歳以上の健康な成人を対象としたもので、個々の適切な飲酒量と飲酒行動の判断の目安として利用してほしいという。

 年齢や性別による飲酒リスクを提示しているのが特徴で、たとえば高齢者は若いときより体内の水分量が減少し、同じ量のアルコールでも酔いやすく、一定量を超えると認知症リスクが上昇する、などと具体的に書かれている。

 行動面のリスクでは、過度な摂取で運動機能や集中力の低下が生じ、事故やけが、他者とのトラブル、社用パソコンの紛失、そのほかに飲酒運転や未成年への飲酒強要など、法律違反に当たるケースも記載された。

 健康との関連では、日本人のエビデンスに基づいて、性別の飲酒量と疾病リスクが掲載された。

 男性では、少量飲酒で高血圧、胃がん、食道がんの発症リスクが上昇。さらに純アルコール量換算で週150グラム以上の飲酒では脳出血、大腸がん、前立腺がんの発症リスクが、週300グラム以上では、脳梗塞などのリスクが上昇するとしている。

 女性は男性より体内の水分量が少なく、アルコール分解能が低い。また、女性ホルモンの働きでアルコールの影響を受けやすい。

 そのため、少量飲酒で脳出血、高血圧リスクが上昇。週75グラム以上で脳梗塞リスク、100グラム以上で乳がんリスク、150グラム以上で胃がん、大腸がん、肝がんの発症リスクが上昇するという。

 純アルコール量の換算方法は、「摂取量(ミリリットル)×アルコール度数(%)×0.8(アルコールの比重)」だ。アルコール度数5%のビール500ミリリットル缶では、「500×0.05×0.8=20グラム」。毎日1本飲み続ければ、すぐに週150グラム近くになる。適度に「休肝日」を設けるべきだろう。

 飲酒GLの適切な使い方は、食物のカロリー量のように純アルコール量を飲酒の目安にすることだ。我慢しすぎない程度に調整していこう。ただし休前日の「チート飲み」だけはお勧めしない。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)