ビジネスの世界では、経営トップが掲げる「標語」や「キャッチコピー」が、従業員のモチベーションや顧客からの印象を大きく左右する。歴史をひもとくと、このことは戦国武将が掲げた旗印に通じている。例えば織田信長は「天下布武」、武田信玄は「風林火山」といった言葉を掲げ、自身のビジョンを広く知らしめようとした。両者の旗印を「ビジネスリーダーの言葉」として捉え直すと、果たしてどちらが優れているのか。ダイヤモンド・オンラインの動画特集『戦国武将の経営理論』の内容から、特別に一部を書き起こして解説する(元の動画はこちら)。
日本史を学び直すと
ビジネスが分かる!?
「学生時代の勉強は社会に出てから役立つのか」──。誰しもが一度は考えたことがある永遠のテーマである。
例えば、日々の仕事に「日本史の授業から得た学び」を生かせている人はいるだろうか。今となっては「鳴くよ(794年)うぐいす平安京」「いい国(1192年)つくろう鎌倉幕府」など、年号の語呂合わせばかりが頭に残っている人が多いのではないか。
しかし、早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄氏や、東京大学史料編纂所教授の本郷和人氏は「歴史を深掘りすると、現代のビジネスに通じるものがある」と力説する。
両教授がビジネスの参考になる人物として挙げるのは、戦国時代の武将として名高い織田信長だ。中でも、信長の「ワードセンス」を読み解くと、ビジネスに大いに役立つという。