パチンコ、麻雀、女、酒、タバコを欠かさず、ほぼニート状態の父親。それに母親が共依存するという複雑な家庭環境に育った。14歳のとき、父親が自己破産して失踪。貧しい生活を支えた母親は病に倒れ、半身不随に。苦境のなか、独学で大学に合格、奨学金を得た。そして、兄・成田悠輔がくれた本をきっかけに「起業」を志した。話題の書『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)の著者・成田修造は、体当たりで起業家の道を歩むようになる。本書は起業を通じた人生の指南書で、何歳からでも組織に頼らず、副業・独立・起業でビジネスを展開するときに必須の内容。これからは会社員であっても、自分で事業をつくれると強い。その思考法とノウハウを全公開する。
※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
社員の独立を支援する
電通のとり組み
働き方の多様化に合わせて、社員の独立をサポートする企業も増えています。
2019年4月に電通が本格導入した早期退職プログラムでは、希望者が早期退職後に個人事業主となり、電通が設立した子会社と10年間の業務委託契約を結ぶというしくみになっています。
これにより早期退職の希望者は、個人事業主として電通の業務を担い、一時的に安定した仕事・収入を得ながら、他社から受注する仕事も請けられるようになります。
独立・起業の
心理的ハードルを下げる
つまり、最初は電通の仕事をメインにしながら、徐々に外部の仕事の割合を増やしていくことができ、より低リスクで独立を軌道に乗せられるというわけです。
さらに、このプログラムを利用すると、個人事業主として仕事を獲得する方法などを学ぶセミナーや、電通が用意するイベントスペースやコワーキングスペースを利用できるなど、さまざまな支援を受けられます。
独立や起業は魅力的なキャリアですが、会社を辞めてすぐに活躍できる人ばかりではありません。
とくに家族がいたり、ローンを抱えていたりする人は、いきなり退職するのは不安なはず。退職後に十分な収入を得られる確証はないので、独立や起業の心理的ハードルは高くなります。
新たなキャリアにチャレンジ
電通の早期退職プログラムは、こうしたキャリアチェンジにともなう不安やリスクを軽減するしくみになっており、僕はとても価値があると感じました。
このプログラムのように、徐々に会社員からフリーランスに移行していける仕組みが日本の社会に広まれば、新たなキャリアにチャレンジしようとする人も増えてくるはずです。
企業の早期退職についてはネガティブな論調で報道されることが少なくありません。でも、早期退職がきっかけで、優秀な人材が次のキャリアにたどり着く成功事例もたくさんあるのです。
多くの人が
チャレンジしやすい社会環境
これからの日本は、大企業から優秀な人が独立したり転職したりする事例を増やすことが重要です。
終身雇用や年功序列を基盤としてきた日本社会において、人材の流動性が高まることこそが日本が変わるための大事なポイントなのです。
そのための環境を整備する大企業がどんどん出てくることで、より多くの人が挑戦できる社会環境が整っていくことを期待しています。
※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。