コロナ禍で急増した
米国での起業数
コロナ禍はロックダウンによる経済活動の急停止をもたらした後、それに続く急速な需要回復と需給ミスマッチによる高インフレを引き起こすなど、世界経済を何年にも及ぶ混乱に陥れた。
中央銀行による必死の利上げもあって、最近ではインフレも次第に収束に向かいつつあり、大幅な雇用の悪化などを伴わないかたちで世界経済がソフトランディングする見込みがたってきたのは朗報だ。
混乱の収束に伴って、コロナ禍という未曾有のショックの前後で経済の姿がどのように変わったのかを巡ってエコノミストの間で議論が高まっている。総じて負の後遺症についての懸念が多いが、コロナ禍がもたらした前向きの動きもみられる。
特に注目すべきは米国における起業活発化の動きだ。金融危機以降はトレンドを下回っていた起業数が、コロナ禍後に急増して高水準を維持している(図表1)。
起業が増えた業種は、宿泊・飲食、ヘルスケア・福祉、小売、商業、運送などが目立ち、地域的には南部、西北中部の州などが多い。