<正解>
「お互いの馬を入れ替えてみて」

 ふつうに「速い方を勝ちとする」なら、話が早かったのですが……。
 でも、そうは言っていられません。
 これはかなり古くからある有名問題をアレンジしたものです。
 完全に発想力だけの問題で、思考の柔軟さが求められます。

「勝利の条件」は何か?

 勝利条件は、「自分が相手より後にゴールすること」のように見えます。
 だから2人は、のろのろと時間をかけて走っているのだと。
 ですが、王様の発言をしっかり見てみましょう。

 “勝った馬の主の方に宝を与える”

「勝った人」ではなく、「勝った馬」と言っているのがポイントです。
 つまり勝利条件は「自分の馬が後でゴールすること」です。
 これは言いかえると……

「相手の馬が先にゴールすれば勝てる」

 ということです。

発想を転換させると

 この勝利条件に目を向ければ、あとは簡単です。
 つまり、お互いの馬を入れ替えてレースをすれば、その馬で先にゴールした方が勝ちになります。
 要するに、ふつうのレースになります。

 賢者はこの方法を提案したため、2人は全速力でゴールに向かったわけです。

「思考」のまとめ

「必須の条件は何なのか?」を明らかにすることで、「馬を入れ替える」という逆転の発想ができました。
「遅く着いた方が勝ち」というゴールだけにとらわれていたら解決策は導けなかったでしょう。

 このように、解決策に辿り着くのが難しく感じたときは、解決の条件を別の角度から眺めてみると、本当に実現しなくてはいけないことがわかります。
 この「外しちゃいけないポイント」が明確になると、それ以外の部分は変えていいんだと、思考の自由度が格段に上がるのです。

 よくクリエイティブの世界で「制限があるほど、発想しやすくなる」と言われるのも、このためかもしれません。
 何か新しい発想をする際は、まずは「外しちゃいけないポイント」を考えてみるようにしましょう。

 ・「変えてはいけない部分」を明確にすることで、それ以外の点において自由な発想ができるようになる

(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)

野村裕之(のむら・ひろゆき)
都内上場企業のWebマーケター
論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者。ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1,500万円を達成するなど活躍。3年間で個人利益1億円を上げた後、フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。本書が初の著書となる。